アスザック株式会社

一元化されたスキルデータで人材育成を推進
キャリア管理機能の活用によって事業部間シナジーの創出を目指す

アスザック株式会社

土木・インフラ業界には欠かせない「コンクリート二次製品」、半導体業界の最先端を支える「ファインセラミックス製品」、スマート農業を実現する「電子センサー」、建築物の外観装飾として使用される「アルミ外装材」、そして安心・安全でおいしい「フリーズドライ食品」まで、多角的な事業で暮らしを支えるものづくりの企業です。 また、「創造開発型企業」として、積極的に製品開発やイノベーションに取り組んでいます。

同社では、それぞれ領域の異なる事業部・事業会社の集合体でありながら「Skillnote」によるスキル情報の一元管理を実現し、さらに全社的なスキルの共通化とシナジーの創出による人材育成の強化、そしてイノベーションの促進に挑もうとしています。総務部 人事チームならびに、現場での取り組みを推進するファインセラミックス事業部の皆様にお話をうかがいました。


導入前の期待
5つの事業にまたがるスキルの一元管理と共有化
スキル情報をデータベース化して全社で共有、事業部をまたいで活躍できる人材管理の実現
スキルデータを用いた計画的な人材育成の推進

導入後の効果
「Skillnote」の導入で、全社的なスキルの共通化に向けた取り組みがスタート
各事業部で従業員のスキルデータを活かし、育てる意識が向上
「Skillnote」による新人育成を加速させる「キャリアマップ」の作成

エクセル管理による無数のファイルがスキルデータの閲覧と共有の妨げになっていた

貴社の人材育成の特徴・方針について教えてください。

小林さん(以下、敬称略):当社はコンクリートから半導体、食品まで、まったく領域の異なる5つの事業を展開していますが、その使命は一貫しています。それは、自社を「創造開発型企業」と位置づけ、新しい技術で人々の生活を根底から支える製品を開発し、社会に貢献することです。

現在でもアルミニウム鋳造のスタンダードである「Vプロセス鋳造法」を1970年代に開発し、世界特許を取得した創業者と前開発研究所長の精神を引き継ぎ、開発人材の採用、積極的な研修や人材育成、イノベーションの促進に力を入れています。

総務部 人事チーム リーダー 小林杏奈さん
総務部 人事チーム リーダー 小林杏奈さん

久保さん(以下、敬称略):新しい技術や製品の開発は、「人材がすべて」なところがあります。そのため、トップはもちろん企業全体の意志として、当社では一貫して人材育成に意識を傾けています。若手が十分に成長できる機会をつくることはもちろん、従業員からの意欲的なチャレンジを歓迎しています。

人事チームとしても、技術・技能スキルの研修から、コミュニケーション等の社会人スキルの研修まで、コストをかけて多様な研修プログラムを従業員に提供しています。個人が成長し、活躍できる環境を提供する。それが、結果的に企業の成長へとつながる。このプロセスを理想であると考えているのです。

この理想を実現するためには、従業員のスキル情報をしっかり管理する必要があります。しかし、5つの事業それぞれで業務特性が異なることから、スキル情報の一元管理が困難な状況にありました。

本社 人事チーム マネージャー 久保勇典さん
本社 人事チーム マネージャー 久保勇典さん

「Skillnote」導入以前は、どのようなスキル管理を行っていましたか?

小林:以前は、スキル情報をエクセルで管理していました。従業員のスキル評価表を統一フォーマットで各事業部に配布し、それをチーム単位で上長が更新する、という形です。

半期ごとにメンバーのスキル状況を更新し、次の半期に向けた教育計画を作成・実行。これを繰り返すことでチームにおけるスキルの総合力を伸ばしていく、という運用をしていました。営業部門では評価の対象がスキルより成果に傾くためやや運用に難しさがありましたが、製造部門では着実に運用ができていました。

一番の問題は、閲覧性にありました。エクセルでの運用は各チームに個別最適化された管理方法だったのです。そのため、事業部および全社のスキル状況を確認しようと思うと、チーム単位でエクセルファイルがズラッと並んでいる状態。正直に言って、見やすいとは言えません。これでは、データへのアクセスと共有が難しく、「スキルデータが全社的に見える化されている」とは言い難い状況だったのです。

久保:エクセル管理による好ましくない影響は、異動にも表れていました。当社では、従業員の成長を促すための人事異動を行っています。また、事業部間でのシナジー向上を図るため、事業部を超えた異動も実施しています。

しかし、スキル情報がチーム単位でエクセル管理されることによって、異動した従業員のスキル情報が異動先に十分に共有されていない現状がありました。そのため異動先でこれまで培った能力を最大限活かすことができず、場合によってはモチベーションが低下してしまう恐れもありました。

このようなこともあり、従業員一人ひとりが培ってきたキャリアや経験を十分に活かせるようにすること、さらには事業部を超えて全社で従業員を育成していくために、スキル情報を適切に管理する必要性を痛感していました。つまり、スキル情報を一元管理でき、扱いやすいインターフェイスで事業部間においてもスムーズに共有できるシステムを求めていたのです。

「Skillnote」によって、スキルデータを人材育成に活かす発想が現場に生まれた

「Skillnote」を導入した決め手について教えてください。

小林:スキルデータへのアクセスと閲覧性の課題を解決するため、当初は総合的なタレントマネジメントシステムを検討しました。ただ、タレントマネジメントシステムは多機能ではあるものの、人材情報そのものは既存の人事システムでカバーできていましたし、むしろスキル管理の面では、当社の膨大な種類のスキルを扱うには使い勝手に欠ける印象がありました。

そうした折、製造業のスキル管理に特化した「Skillnote」の導入をファインセラミックス事業部で検討していることを知りました。そこで人事チームでも「Skillnote」の概要を把握したところ、「Skillnote」が当社の複雑なスキル情報を適切に管理できる、まさに当社が求めているシステムだとわかったのです。

そこから、各事業部で1年かけてテスト導入を行いました。さらに事業部ごとに異なるスキルの管理体制や承認フローを洗い出した上で、3年前から全社導入しています。

「Skillnote」導入の効果について教えてください。

小林:育成計画の策定と半期ごとのスキルマップの更新については、「Skillnote」の導入後も問題なく運用がなされています。なお、これは人事チームとして各事業部に対して「Skillnote」導入前から求めていたことです。

大きな課題だと感じていたスキルデータの閲覧性が改善したことで、人事および必要な関係者が全社的なスキル状況を確認できるようになりました。また、各事業部においても、「Skillnote」をスキル情報のデータベースとして活用する動きが見られています。

その一例として、ファインセラミック事業部では「Skillnote」によってISO9001の監査対応の際にスキル教育の状況を伝えやすくなったと聞いています。

また、フリーズドライ食品を手がけるアスザックフーズでは、従業員への品質管理教育を行うにあたり、その教育履歴の管理に「Skillnote」を活用しています。

そして、私たち本社の人事チームでも、「教育・研修」の領域において効果が出ています。人事チームでは、全社の従業員に各種研修機会を提供しています。これまで教育履歴は、閲覧制限のあるシステムで管理していました。しかし、「Skillnote」で教育・研修情報を管理するようになったことで、各事業部で従業員、とくに、新人社員の研修修了状況をすぐ確認でき、育成状況を把握しやすくなりました。

「Skillnote」を使って「全社共通スキル」を把握・活用する

ファインセラミックス事業部では、なぜ「Skillnote」を検討したのですか?

山本さん(以下、敬称略):従来のエクセル管理では、従業員のスキル情報がチーム単位、部単位でクローズドなものになっており、事業部レベルでは共有できていませんでした。

そのため、忙しい部署へ応援を送り込む際に、最適なスキルを持つ人材がわからないことがネックでした。その解決策としてスキル管理システムの活用を検討していたのです。

現在は「Skillnote」の導入により、各従業員のスキルデータに手軽にアクセスできるようになっています。今後は、応援に必要なスキルを洗い出し、そのスキルについて重点的な教育を行うことで今以上に人材の流動性を高めたいと思っています。

また、繁忙期に欠員しやすい部署やチームにおける重点スキルを他部署の人材に教育することで、さらに強力な応援要員として育成することも検討しています。これも、「Skillnote」によってスキルが可視化されたからこそ検討できることだと思っています。

「Skillnote」を使って「全社共通スキル」を把握・活用

先ほど、異動で来た従業員の処遇の課題に触れましたが、この解決にも「Skillnote」は貢献しているでしょうか?

山本:これまで前配属先のスキルが活かされなかった原因は、「スキルを活かす発想が現場になかったから」だとも言えます。つまり、現場の感覚からすると、「事業領域の異なるスキルが役立つわけがない」と思い込んでいるところがないわけではなかったのです。

しかし、たとえば、CADの操作や設計図の読み解きなどは、事業領域が異なっても役立つスキルです。ですが、同時に、ある特定の事業領域において活用していたCADのスキルが、そのままの状態では違う事業領域に流用できないことも、また事実なのです。

そこで我々は現在、全社的に共通化できるスキルについて、各事業部の代表者と具体的な話し合いを進めているところです。要するに、事業部間で流用できるようにスキル教育を行うためのポイントを探っている、というわけです。

こうした事業部間での取り組みが具体化できたのは、「Skillnote」という全社共通のスキルデータプラットフォームが構築できたことよる意識変容の結果であると思います。異動してきた人材をスムーズに活躍させることが、従業員のモチベーションや生産性向上につながることは間違いありません。

また、スキルの共通化を通じて事業部間の共通言語を増やしていくことは、全社的なシナジーの創出やイノベーションの促進にもつながっていくことだと思いますので、期待も大きいですよ。

若手の成長を加速させる新機能「キャリア管理」の活用

「Skillnote」の新機能「キャリア管理」を活用した、若手の人材育成について教えてください。

小林:「Skillnote」を全社導入し、ある程度のスキルデータの可視化ができた2022年に、当社の代表が人材育成における以下のミッションを示しました。

(1)若手従業員の育成促進をブーストする研修の立案・実施
(2)教育資料や手順書を整理するプラットフォームの整備
(3)個人目標の設定と手法の改善
(4)マネージャーのコンピテンシー評価における定義

「Skillnote」の導入の際、きめ細やかなサポートと改善対応をいただいた経緯から、このミッションについてもSkillnoteのカスタマーサクセス担当の方に相談し、「(3)個人目標の設定と手法の改善」については先述したスキル管理体制を構築することによって、実現へと向かっています。

さらに、「(1)若手従業員の育成促進をブーストする研修の立案・実施」については「Skillnote」の新機能「キャリア管理」の活用をご提案いただき、現在、その準備を進めています。

どのような取り組みなのでしょうか?

小林:代表からは「社員が入社して、ただがむしゃらに目の前の仕事をするのではなく、どういうプロセスで成長し、何年後にどういう業務ができるようになるか、というロードマップを示して育成してほしい」という要望がありました。

久保:つまり、「キャリアマップの整備」ということです。これまで新入社員の初年度研修では、「1週間、3ヶ月、1年」とステップを区切って教育研修の内容を整理していました。しかし今後はさらに、「2年目、3年目、それ以降」に獲得すべきスキルや能力、目指すべき人物像などについて目標を明確に示そうと試みています。

現在、各事業部の代表を集めた「育成システム構築プロジェクト」をタスクフォースとして組織し、各事業部・各チームでキャリア管理機能による「キャリア」の作成を進めています。

また、人事が提供する研修についても、年次ごとに受講が推奨されるプログラムを「キャリア」に組み込んで、研修の全体像も理解できるようにする予定です。

キャリア管理
「Skillnote」の新機能「キャリア管理」のイメージ画面。目指すべきキャリアの定義や必要な力量(スキル、資格、教育)の確認、進捗率の把握を通じて、メンバー・上長の双方がキャリアイメージと現在地の共通認識を持つことが可能に。

どのような効果や目的を想定しているのでしょうか?

小林:ひとつは、先にも述べた各事業部で取り組む半期ごとの従業員のスキルアップを、その方向性が上長次第で方向性がブレないよう、「キャリア」の計画に沿って実施することです。そしてもちろんこれを、若手人材のモチベーションアップにもつなげたいとも考えています。

小川さん:新人にとっては、将来にわたる人材育成のビジョンがしっかり考えられていることや成長した姿をイメージできることが、納得感を持って業務に、そして研修に取り組むことへとつながります。

私はフリーズドライ事業を手がけるアスザックフーズの開発部門に新卒で配属され、その後人事部門に異動しました。人事を経験する前は、必ずしも研修の意味や目的を把握できていなかったように思います。むしろ仕事を進めたいのに研修や教育の時間がスケジューリングされていて、「その時間があれば開発案件の検証できたのに!」と不満に思うことがなかったわけではありません。

だけど、人事に配属されてから、どれだけ当社の研修制度が充実しているかを知るようになりました。研修一つひとつに当社の人材教育にかかわる目的や理念が込められています。現場にいた頃にそれが理解できていれば、もっと積極的に研修も受講できたな、と思います。

本社 人事チーム 小川萌香さん
本社 人事チーム 小川萌香さん

より細やかなスキル管理によってさらに人材育成を充実させたい

近年、製造業の大きな課題である人材不足への対策でもあるのでしょうか?

小林:人材不足は当社にとっても対策が必要な課題ではありますが、ここまでご紹介した取り組みは、純粋に人材育成を目的としたものです。それが当社の使命である「人々の暮らしを支える新たな製品開発」へとつながっていくものと考えています。

山本:ただしこれらの取り組みが、若手従業員が自らの成長を実感して安心して働ける環境をつくることにつながっていることは確かだと思います。つまり結果として、従業員と会社のエンゲージメント向上に寄与して、人材不足の問題解決にもつながっているのだろう、と思います。

とはいえ現状はまだ「Skillnote」のキャリア管理機能で人材育成の枠組みをつくった段階に過ぎません。具体的な運用のあり方にはさらなる検討が必要だと思っています。

たとえば、研究開発を担うエンジニアであれば、長期的視野を必要とする職務特性上、5ヶ年計画でキャリアビジョンを提示することが当人の成長イメージとモチベーション確保へとつながります。一方で、現地採用する製造現場の従業員に対しては、1年スパンなどのより短期的な成長ビジョンの提示が求められます。製造現場においては日々の生産を安定的に維持することがとても大切なミッションですからね。

このように同じ事業部であっても従業員によって成長のイメージは大きく異なるものです。こういった職種・職能による細かな違いをどのようにキャリア管理機能の「キャリア」に反映して運用していけるかも、当社の人材育成においては大変重要なことであると考えています。

小林:今後は、より細やかな「Skillnote」の運用方法を各事業部とともに話し合って決めていきたいと思います。それは、一人ひとりの従業員がモチベーション高く、幸福に、安心して働ける企業のあり方を模索し、実現していくことにつながっていくのだと思っています。

より細やかなスキル管理によってさらに人材育成を充実
スキルノート資料DL

アスザック株式会社

社名
アスザック株式会社
(子会社:アスザックフーズ株式会社)
業種
ファインセラミックス事業(ファインセラミックス)/ アルミ事業(アルミ建材・エクステリア)/ インフラエンジニアリング事業(コンクリート2次製品・景観石材)/ P&D事業(電子機器・産業機械)/ フリーズドライ食品製造等 ※アスザックフーズ株式会社
従業員数
約950名(2024年4月時点)
企業URL
https://asuzacgroup.jp/
利用用途
多様なスキルの可視化
スキルと教育の一元化
人的資源の最適化

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