2022年7月7日に開催したセミナー「大森機械工業が取り組む Excelから脱却!スキルと教育の一元管理で作業工数10分の1へ」について、概要をイベントレポートとしてまとめています。
今回のテーマ「エクセルから脱却!」は、製造業における現場の生産性向上や業務の効率化の観点から広く注目されています。本セミナーでは、大森機械工業株式会社の原田さまを登壇者にむかえ、力量管理の脱エクセルを果たした取組みについて、お話をいただきました。
「先輩の背中をみて学べ」という風潮から脱却!本格的な人材育成がスタート
当時の状況
✓次世代を育成するため「大森経営塾」が発足
✓「先輩の背中をみて学べ」という風潮から脱却へ
―まずは当時の状況について教えてください
原田さん(以下、敬称略):2008年、現在の社長が就任し、始めた活動の1つとして「大森経営塾」がありました。これは次期経営者や、経営陣と同じ考えをもつ従業員を育てるための取組みでしたが、その中でたびたび「現場の人材育成」についての議論されることがとがありました。
―当時の様子について「先輩の背中をみて学べ」とありますが具体的にどのような状況だったのでしょうか?
原田: 当時は、教育内容も先輩の技術・仕事を見て覚えることが多く、まさに言葉の通り「先輩の背中を見て学べ」という風潮がありました。例えば、ある先輩は部品同士の隙間は3㎜がベストだと言う、またある先輩は2㎜がベストだと言う、お互いに過去の経験から積み上げた知識・経験から育成を行っていましたが、受講者には混乱もありました。
教育体制の標準化をすべく行った3つの取組み
取組み内容
✓従業員の保有スキルの見える化
✓スキル取得に必要な教育項目の整理
✓施した教育や身についたスキルの集計
―上記3つの取組みが、教育体制を標準化する上で最初のステップだったそうですね。上2つは既に取得されているISO9001の対象範囲となりますが、改めて取り組まれた理由を教えてください
原田: ISOは1997年に取得をしているので、すでに対応はしていました。しかし、作成をした各部門内でないと分かりにくい形式になっていたため、これを機に全社を通して作成することになりました。
―3つめの「施した教育や身についたスキルの集計」についてはどのような意図で行ったのですか?
原田:教育体制を標準化する上で、各部門はどのような教育をやっているのか?何時間やっているのか?どのくらいスキルを習得したのか?など、施した教育に対する効果を把握するために行っていました。
作業の妨げになったのは“50の部署バラバラに管理されたスキル情報”
当時の課題
課題➀フォーマットが異なるスキルマップ
課題②部署によって異なるスキルや教育の表記
課題③バラバラに点在した教育履歴とスキルアップ件数
―取組みを行う上で“50の部署バラバラに管理されたスキル情報“が原因で様々な作業が妨げられたそうですね。当時の課題について具体的に教えていただけますか?
課題➀フォーマットが異なるスキルマップ
原田:SKILL NOTE導入前は、例にあるよう、部署ごと業務に合わせて最適に調整していたため、スキルマップを正確に読み取るための時間がかかりました。例えば、人が多い部署は名前を横に記載する、業務内容に説明がいる業務は横に内容を説明を記載する、など部署によって形式は様々でした。
課題②部署によって異なるスキルや教育の文言
原田:A部署B部署それぞれ、どの工程のスキルを指しているのか読み解くのが大変でした。B部署のスキルは「機械が納品され実施する受入検査」「調整後に実施する中間検査」「機械を出荷する前に実施する最終検査」3つの検査工程があるうち、全ての工程を指すことは直ぐにわかりましたが、A部署については何を指しているのか現場に確認する必要があり、とても時間がかかりました。
③バラバラに点在した教育履歴とスキルアップ件数
原田:まず、紙で作成された教育訓練記録を各部門から集めることに苦労しました。記録を作成するタイミングも教育受講後、週単位、月単位などバラバラだったため、文書を集める前に全体のフローを確認する必要がありました。また、スキルと同様に教育内容の表現や文言のばらつきがあり、都度電話で確認を行わないと作業を進められない状況でした。それからやっと集計用のExcelに転記してグラフ化するので、1回の集計を行うだけで1週間の時間が必要でした。
SKILL NOTEを導入。自社で使用していたスキルマップとよく似ていたことが決め手に
―システム導入を検討されるなか、SKILL NOTEを選んだいただいた理由を教えてください
✓スキルマップが自社で使用していたものとよく似ていた
✓ 教育とスキルを一元管理することができた
原田:2点あります。ひとつは、縦軸と横軸に「人の名前」「業務内容」を記載するスキルマップの構造が非常に似ていたことです。今まで使っていたExcelシートをシステムで表現したような作りだったので期待が持てました。
2点目は、教育とスキルを一元管理できることです。当時はまだ機能として実走はされていなかったものの、1つ1つのスキルについて、どの教育を受講すれば当該スキルの評価が上がるのか、システムで管理できるようになることが魅力でした。
1週間かかっていた作業工数は10分の1へ
―SKILL NOTE導入後、当時抱えていた課題はどのように解決されましたか?
原田:スキルマップやスキルの文言はすべて統一、さらにシステムでスキルマップや教育記録を作成・し、ひとつの場所にまとめて保存できるようになりました。実際に使ってみて便利だったこととして、部署異動があった際に、どようなスキルを持っているかをリアルタイムで見れるようになったので、問い合わせや聞き取りを行う必要が無くなりました
➀フォーマットが異なるスキルマップ
②部署によって異なるスキルや教育の文言
③バラバラに点在した教育履歴とスキルアップ件数
➀すべてのフォーマットをシステムで統一
② スキルの表記を統一し、スキル体系や教育を全てデータベース化。
③負担がかかる手作業を全てシステムで自動化
―スキルや教育の集計に、当時は1週間を要していたそうですが、SKILL NOTE導入後はどのように変化しましたか?
原田:現在は、およそ10分の1に作業工数は削減しました。SKILL NOTE内で教育やスキルアップ件数もリアルタイムで集計しているので、教育訓練記録を取り寄せるための呼び掛け、取り寄せ後の確認・集計などがすべてなくなりました。また、集計した情報が会議で必要な時は、その場でSKILL NOTEを立ち上げて画面を表示させることで対応しています。
今後の展望「スキルデータを人事考課、ローテーションへ活用したい」
今後の展望
✓社員のスキルデータを活用した人事ローテーションの実施
✓スキルデータを人事考課に繋げる取り組みを検討
―SKILL NOTEを導入したことでの効果や、従業員の皆様の変化はありましたか?
原田: 集計時間の手間が無くなったことにより、係長・課長・部長・役員研修の構築や、資格を取ることで給与にインセンティブがつく制度を構築出来る時間が取れました。
また、人事部門に異動そた際に気が付いたことですが、毎年の採用は各部門から「〇名増員して欲しい」という要望しかなかったところ、現在では「○○のスキルをもった要員がいれば優先的に採用していきたい」等の提案を受けるようになりました。
―ありがとうございます。最後に今後のどのような活用をご検討されているかを教えてください
原田:従業員が持っているスキルを、ほかの部門でも同様に活かしたり、全く違う領域へ活用することを見据えて人事ローテーションを進めたいと思っています。また、持っているスキルを、給与やボーナスなどの人事考課に反映する方法も合わせて考えています。
―原田様ありがとうございました!
大森機械工業株式会社について
社名:大森機械工業株式会社
業種:産業用機械製造業
従業員数:609名(2021年5月期)
企業URL:https://www.omori.co.jp/
プレス型製造業として1948年に創業。業界初となる自動結紮機「クレハロンパッカー」を開発後、包装機械業界のリーディングカンパニーとして誰もが目にする食品や医薬品の「包装」を支えている。
本件に関するお問い合わせ先
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