- 社名
- 川崎重工業株式会社
- 業種
- 航空機製造メーカー
- 従業員数
- 36,691人(2021年3月31日現在)
- 企業URL
- https://www.khi.co.jp/
- 利用用途
- データの一元管理
品質向上
ISO力量管理の対応
超多品種・少量生産の航空機製造。スキル、教育を一元化し、さらなる品質向上へ
- 川崎重工業株式会社 航空宇宙システムカンパニー
- 日本有数の航空機メーカーである川崎重工業株式会社の航空宇宙システムカンパニーでは、複雑な生産工程と常に最高水準の技術と品質が要求されます。数多くの人が関わる現場で、さらに高いレベルを目指プロジェクトである「Smart-K」実現のために 「Skillnote」を導入した背景を、生産企画部の清家 嘉昭さんと、服部 一隆さんにお伺いしました。
- 導入前の期待
- スキルや教育計画・記録などのデータ管理の確認作業を減らす。
- スキルと教育に関するデータを部門間で統一し、分析・データ活用へつなげたい。
- 導入後の効果
- 教育計画や受講状況と、スキル情報の自動連携により、確認作業が不要になった。
- 部署を横断したスキルや資格、教育データの一元管理が可能になった。
Smart-Kプロジェクトの推進に必要不可欠だったスキルと教育データの一元管理
ー Skillnoteの導入の背景にあった「Smart-K」について教えてください。
清家さん(以下、敬称略):Smart-Kとは、「Smart Manufacturing Activities for Reengineering Tasks by KPS」を指しています。最新のICT/IoT技術を取り入れながら航空機製造のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を進めるプロジェクトです。
このプロジェクトでは、2つの大きな目標があります。1つ目が、「顧客の信頼を得るために強固なトレーサビリティを構築すること」です。2つ目が、「生産性の向上、特にリードタイムの短縮を目指していくこと」となります。
ー 航空機を製造する上での「トレーサビリティ」とは具体的にどういうことを指すのでしょうか?
服部さん(以下、敬称略):航空機は少しでも故障があると即重大な事故につながってしまいます。一つの飛行機を作るのに、約10万種類もの部品がある生産現場にとって、技術部門の図面指示やスペック指示を正確に現場に伝え、確実に実施し、記録を取る、という全てのプロセスが可視化されることは極めて重要です。つまり、「いつ、だれが、どこで作ったのか?」というのが、見える状態となっていることがトレーサビリティができている状態となります。
「航空機」というモノづくりの現場で、スキルをシンプルかつ、正確に管理できることが決め手に
ー Skillnoteの導入前に感じていた課題を教えてください。
清家:Smart-Kプロジェクトを進めるにあたり、データの一元管理は必須でした。製造データだけではなく、現場で働く人が持つスキルや資格の管理、さらに厳密に行うためには、 ISOの要求に沿って「人材情報」と「教育計画」、「スキルマップ」、「教育訓練報告書」などのそれぞれの情報が連携する必要もありました。
ー 当時はどのような管理をしていたのでしょうか?
清家:以前から非常に細かくやっていたのですが、それをExcelで管理していたので、各課で独自のフォーマットが存在し、結果的に、そのエラーチェックに時間がかかってしまったり、どうしても部門間の共有やデータ自体の有効活用ができずにもどかしさを感じていました。
ー これだけ複雑かつ、技術要求が高い航空機の生産現場ではどんな観点でシステム検討をするのでしょうか?
清家:最初は内製することも検討しましたが、非常に困難が予想されたので、有用な外部のシステムがないかと検討をはじめました。その際に、やはり、航空機製造ではあらゆる面において厳格な管理が求められます。スキルや資格も同様であり、例えば、航空局といった監督官庁やお客様からも明確なものが求められます。この部分をわかりやすく、シンプルに客観的な管理ができるかどうかが重要でした。
データの一元管理ができ、教育計画や受講履歴、スキルマップの自動連携が可能に
ー Skillnoteの導入後の手応えや効果はいかがですか?
清家:四半期ごとに部門内で教育計画と教育の受講状況、それに合わせたスキルの更新状況の整合性を確認していたのですが、それらはSkillnote上では自動で連携しているため、想定通り、わざわざ確認する必要がなくなりました。客観的な評価基準とレベルアップの条件設定ができるようになったのも大きなメリットですね。
ー 具体的にはどういった内容でしょうか?
清家:シラバス機能により、スキルのレベルアップや資格取得の条件に対して、教育の完了や他の資格/スキルを紐づけることができ、スキルや資格の判定基準を明確にできるようになりました。また、それらの条件が満たされることでレベルアップやスキルの取得を実現できるようになりました。
ー 新しいシステムを導入することに対して、導入部門ではすんなりと受け入れてもらえましたか?
服部:やはり、こういった新しいシステムやツールを導入するときには、変えていくことに対してリスクを感じるある種の怖さもありますよね。それで、「なぜ変えるのか?」という質問が来ましたね。
紙やExcelでも十分対応できていたけど、KPS(※)でも大事にしている「カイゼン」は、何も作業改善だけではありません。我々は、もっともっと上を目指すということで何度も各現場と対話をしています。 また、Skillnoteのスキルマップは今まで使っていたExcelに近いので、実際に使う側の抵抗は少ないかもしれませんね。
※KPS(Kawasaki Production System)
「あるべき姿」を⽬標に「お客様(顧客・個客の総称)の要求を満⾜する製品(全数良品・低価格)を、お客様が要求する納期までに、お客様が必要とする量を、⾼い安全性と⾼い⽣産性(効率)で⽣産し、お客様に提供する」という考えに基づく川崎重工の生産⽅式です。
製造×人材データのコラボレーションを実現したい
ー 今後、Skillnoteを通じて、どのようなことを実現したいと考えていらっしゃいますか?
清家:Smart-Kで製造に関わるあらゆるデータを網羅的に収集し、それらの分析を行い、活用していくことを目指しています。
そのデータとSkillnote側の「人」のデータのコラボレーションをしたいと考えています。 例えば、改善が進んでいる職場とあまり進んでいない職場で持っているスキルにどんな差があるのか?といった点に対して、Smart-Kで集めたデータも併せて分析することで、今まで見えていなかった視点から改善のアプローチができるようになるのではないかと思っています。
服部:Skillnoteのデータも含めて、本当の意味で一元管理できると、人員計画とそれに紐づく育成や配置ができるようになると思っています。5年後や10年後にこのスキルを持っている人が、どのぐらいいるのか?増えるのか、減るのか?といった予測もできるようになり、スキルを取得するためのシラバスの統一もできます。
その結果、製造部門だけではなく、設計や品証、総務など、どの部門においても、誰でも同じ条件で、同じレベルのスキルや資格、力量を身につけることができるようになると思います。そうすると、今後、新しいプロジェクトや仕事を行う際にも定量的に事前に把握もできるようになります。そういったところに今後は取り組んでいきたいですね。