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ISO審査とは? 審査の種類、準備、流れについて解説

ISO審査とは?

ISO審査とは、組織のマネジメントシステムがISOの規格に適合しているかを判断するための審査です。認定は第三者機関によって行われるため、ISOの取得は社会的な信頼につながります。しかし、ISO取得を検討している、あるいは取得企業に勤めているものの審査は初めてで、審査の流れや準備すべきことが分からないという方もいるのではないでしょうか。

本記事では、ISO審査の種類や流れ、事前準備、審査にかかる費用などについて解説します。ISO審査について詳しく知りたい方や、ISO取得を検討している方はぜひ、本記事を参考にしてください。

ISO力量管理

ISOとは?

ISOとは「International Organization for Standardization」(国際標準化機構)の略称で、スイスのジュネーブに本部を置く非営利・非政府機関を指します。

ISOは、スムーズでグローバルな取引を目的としており、製品やサービスについて世界共通のさまざまな規格を定めています。このISOの規格に製品やサービスが適合しているかどうかを審査するのがISO審査です。

ISOの種類

ISOには、大きく分けて製品を対象とする「モノ規格」と、マネジメントシステムを対象とする「マネジメントシステム規格」の2種類があります。

モノ規格とは、製品そのものに対して国際的な基準が定められた規格です。代表的なモノ規格には、非常口のマーク(ISO 7010)やネジ(ISO 68)などが挙げられます。モノ規格のISO審査で認証を受けるには、工場審査や製品試験などを受ける必要があります。

一方、マネジメントシステム規格とは、企業におけるマネジメントの仕組みに対して定められた国際的な規格です。マネジメントシステム規格にも、品質マネジメントシステム規格(ISO 9001)や医療機器の品質マネジメントシステム規格(ISO 13485)などさまざまな種類があります。

本記事では、特にこの「マネジメントシステム規格」におけるISO審査を解説します。

関連記事:ISO 9001とは? 目的、メリット、要求事項、取得の流れを解説

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ISO審査とは?

ISO審査とは、ISOで定められている規格に組織のマネジメントシステムが適合しているかを第三者の審査機関が認証する審査です。

ISOマネジメントシステム規格には「要求事項」が定められており、要求事項に適合していると判断された企業はISOの認証を取得できます。

第三者機関から認証を受けてISOを取得すると、企業の社会的な信用がアップするため、売上向上や事業の拡大などの効果が期待できるでしょう。

審査の種類

認証機関による審査には、認証を受ける際の「登録審査」と認証後の「サーベイランス審査・更新審査」があります。

また、認証機関以外では組織内で行う「内部監査」もあります。

認証機関による登録審査

登録審査とは、ISOを取得する際に行われる審査です。登録審査には一次審査と二次審査があり、一次審査に通過を通過した企業は二次審査に進みます。

一次審査では、マネジメントシステムに関する書類がISOの要求事項に適合しているかが審査されます。一方、二次審査ではISOの要求事項に沿った運用ができているかが実際の製造現場などで審査されます。

一次審査と二次審査を経て、ISO規格に適合していると判断された場合はISOの認定となり、登録証が発行されます。

認証機関によるサーベイランス審査と更新審査

サーベイランス審査と更新審査はISOの取得後に行われる審査で、取得後も要求事項に適合したマネジメントシステムを継続できているか審査されます。

サーベイランス審査とは、認証機関によって維持審査や定期審査とも呼ばれる審査で、基本的には年に1〜2回程度実施されます。審査の時期は、前年に認証を取得した日の前後1カ月を目安に行われ、前回審査からの運用状況を確認されます。

更新審査とは、ISOマネジメントシステムの登録証の有効期限が切れる3年ごとのタイミングで行われる審査です。更新審査は認証を取得してから3年分の運用状況を確認するため、サーベイランス審査より多くの時間をかけて審査が行われます。

組織内での内部監査

内部監査とは、自社の社員またはコンサルタントが内部監査員として他部署に行う審査です。企業の運営がISO規格やマニュアルに沿ってきちんと行われているかを、内部監査員が定期的に監査します。

この内部監査はISOの要求事項のひとつとなっています。そのため、ISOの認証を受けたらそれで終わりではなく、定期的な内部監査で社内の問題点を発見し、その都度改善していく必要があるといえるでしょう。

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審査機関とは?

審査機関とは、ISOの認証を行っている第三者機関です。審査機関には、認定機関と認証機関の2種類があります。

審査機関の種類

ISOの審査機関は、国際認定協力機関(IAF)に加盟をしている「認定機関」と、その認定機関から認定を受けた「認証機関」があります。

認定機関とは、認証機関がISO審査を行う機関としてふさわしいかを審査して認証する機関です。2023年現在、日本では日本適合性認定協会(JAB)と情報マネジメントシステム認証センター(ISMS-AC)が認定機関とされており、この認定機関から認証を受けた会社のみが認証機関となります。

認証機関とは、ISO取得を目指している組織や企業に対して審査を行う機関です。認証機関からISOの要求事項に適合していると審査されれば、認証証明書(ISO登録証)が発行されます。認証機関は日本に50社以上存在し、それぞれに専門としているISO規格や業種などが異なります。

また、ISOの認定機関は各国に通常1つずつ以上存在し、日本と海外の認定機関は相互認証をしています。

審査員とは?

認証機関に在籍する審査員は以下のレベルに分かれており、それぞれ役割が異なります。

  • 主任審査員…企業のISO審査を行う審査員の代表者となれる
  • 審査員…企業のISO審査を行う
  • 審査員補…審査員・主任審査員のアシスタントとして審査に加わることができる

認証機関と同様、ISOの審査員にも認定されるための手順があります。ISOの審査員になるためには、審査員登録機関への審査員登録をして審査員資格を取得する必要があります。

審査員登録は、実務経験や審査員研修コースの合格終了など、一定の要件を満たす必要があり、審査員登録機関で登録が認められればISO審査員としての資格を有することができます。要件は取得するISO規格の審査員資格や審査員のレベルによって異なります。 

ISO審査の準備

ISO審査を受けるにあたり、取得前の登録審査と取得後のサーベイランス審査・更新審査では準備のポイントが異なります。  

ISOの登録審査の準備      

ISOの登録審査を受ける場合は、以下のような項目をはじめに決めておきましょう。

  • 取得するISO規格の種類
  • ISOを取得する目的
  • 適用範囲(どの範囲の部署で審査を受けるか)
  • ISOの担当者
  • 認証機関の選定
  • 取得する時期
  • 外部コンサルタントを利用するか

取得までの流れについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

認証機関の選定

ISOの登録審査を受ける場合は、はじめに認証機関を選定する必要があります。認証機関は日本に50社以上あるため、それぞれ審査できる規格や業種、価格などに違いがあります。

まずは、自社の取得したいISO規格の審査を行っている認証機関をピックアップしましょう。

認証機関の選定基準

認証機関の選定基準となるポイントは、次の3点です。

  • 得意な業種
  • 価格
  • スピード

認証機関によって得意としている業種・業界は異なるため、自社に合った認証機関を選ぶのは非常に大切となります。自社と異なる専門分野の審査員から審査を受けた場合、専門分野の説明などが必要になり審査がスムーズに行えない可能性が考えられます。認証機関にこれまでの実績や、得意な業種をヒアリングしてみましょう。

また同じISO規格でも、認証機関によって価格は異なります。そのため、同じISO規格を審査が可能な複数機関で相見積もりをとったほうが賢明と言えます。相見積もりをとる際は、対応のスピードも合わせてチェックしておきましょう。

認証機関の変更は可能

ISO審査を何度か受けていると「審査員が毎年変わるため、審査にばらつきがある」「審査がマンネリ化してきた気がする」など、認証機関に対して何らかの不満を感じることもあるでしょう。

そのような場合は、「移転」と呼ばれる認証機関の変更が可能です。

審査時の変更はもちろん、期間外でも変更できるため、契約中の認証機関より好条件の認証機関が別で見つかった場合は移転を検討するのも良いでしょう。

ISO審査にかかる費用 

ISO審査にかかる費用は、認証機関や従業員数・企業の拠点数・業種によって異なります。

登録審査

登録審査にかかる費用は次のとおりです。

  • 認定登録料
  • 一次審査料
  • 二次審査料
  • 審査員の交通費と宿泊費

企業の規模にもよりますが、登録審査には数十~数百万円程度の費用が必要になると考えておきましょう。

サーベイランス審査

サーベイランス審査にかかる費用は次のとおりです。

  • 審査基本料金
  • 審査員の交通費と宿泊費

サーベイランス審査に必要な費用は、登録審査の1/3程度を目安にしておきましょう。ただし、費用は企業規模によって変わるため注意してください。

更新審査

更新審査にかかる費用は次のとおりです。

  • 審査基本料金
  • 審査員の交通費と宿泊費

更新審査の費用目安は、登録審査の2/3程度とされていますが、こちらも企業規模によって費用が異なるため参考程度にしてください。

サーベイランス審査と更新審査の準備   

ISOを取得後のサーベイランス審査と更新審査の前には、前回審査からの運用記録を用意しておきましょう。自社のルールにしたがった目標の管理、会議や教育、監査の記録などを準備します。

また、前回審査時の指摘事項や観察事項について聞かれるケースがありますので、観察事項・指摘事項の是正や検討した内容、改善しない場合はその理由などを準備しておきましょう。

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ISO審査の流れ

審査の流れ

ISO審査は日数などによって異なりますが、大まかに下記のような流れで行われます。

  • オープニング
  • 審査 被審査部署それぞれに対し1~2時間程度
  • クロージング

オープニングでは審査員から自身の紹介や要求事項の内容に変更などがあればその説明があります。

審査では被審査部署に対し、それぞれ1~2時間程度の審査を行います。

クロージングでは、審査の結果について簡単に説明を受け、正式な報告書は後日送付されます。

審査で聞かれる内容

審査で聞かれる内容は審査員によって異なるものの、大枠としては要求事項に沿ってPDCAサイクルが回せているかを確認されます。

具体的には、要求事項に適合するルールを作り(Plan)、ルールに沿ってマネジメントシステムを運用(Do)、内部監査などのよって要求事項に適合した運用がされているかを確認し(Check)、より良く運用するためにマネジメントシステムを改善する(Action)といったサイクルの仕組みができているかについて聞かれると思っておきましょう。

登録審査

登録審査では、主にマネジメントシステム全体が要求事項に沿っているかを確認されます。

登録審査には一次審査と二次審査があり、一次審査では構築されたマネジメントシステムに大きな欠陥がないか、ISOの要求事項に適合した書類があるかなどが問われます。一方、二次審査では要求事項に沿って策定した自社のルールが現場で適切に行われているかを聞かれます。

ただし、一次審査で書類が必要になるとはいえ、すべての書類を用意して審査に臨まなければならないわけではありません。ISO審査の準備は通常の業務と平行して行われるため、すべての書類を揃えるにはかなりの時間を要します。

必要書類が揃っていない場合は不適合と判断されるかもしれませんが、指摘後に是正処置を取れば基本的に問題はないため、書類等の作成ばかりに捉われないようにしましょう。

サーベイランス審査・更新審査

サーベイランス審査と更新審査では、前回の審査内容を踏まえてどのような活動を行ってきたか、活動の証拠となる書類はあるのかなどを確認されます。

ISO取得の翌年・2年目に行われるサーベイランス審査と、ISOの登録期限が切れる3年目に行われる更新審査では、聞かれる内容や重視されるポイントに違いがあります。

サーベイランス審査では、前回審査からの運用状況について聞かれ、前回の審査から引き続いて問題なく運用ができているかがポイントです。

更新審査では、ISOを取得してから3年間分の運用状況について聞かれ、ISOの登録を更新しても問題がないかが重視されるでしょう。

04. ISO力量管理

ISO審査の結果

ISOの審査結果には次の3種類があります。

  • 重大な不適合(メジャー)
  • 軽微な不適合(マイナー)
  • 観察事項

各結果について確認しておきましょう。

重大な不適合(メジャー)

重大な不適合とは、方針や目標が設定されていない、内部監査の証拠がないなど、マネジメントシステムや運用状況に大きな欠陥があると判断された状態を指します。

重大な不適合と判断されると審査が続行できないため、中断や延期、再審査となる場合もあります。重大な不適合が複数ある場合は、マネジメントシステムを根本から見直さなければならないケースも出てくるでしょう。

ただし、不適合と判断されたからといって、必ずしも審査に落ちたとは限りません。

マネジメントシステムの再構築や運用記録の作成を行うなど、再審査で是正処置を行ったことが示せれば認証を受けられる可能性もあります。

軽微な不適合(マイナー)

軽微な不適合とは、重大ではないものの要求事項を部分的に満たせていないと判断された状態です。審査自体は最後まで行えるため、中断や再審査にはなりません。

基本的に不適合箇所に対する修正や是正措置を行えば認証を受けられるでしょう。

観察事項

観察事項とは、現段階では不適合でないものの、今後不適合になるリスクがあると判断された状態です。

マネジメントシステムの計画がきちんとあり運用もできているが、今後このようにすればさらに良くなるのではないか、といった提案に近い指摘を指します。

重大な不適合と軽微な不適合は、不適合箇所に対する是正処置が求められますが、観察事項は是正措置の判断が企業にゆだねられています。

そのため、指摘内容を検討したものの採用しなかったという措置を取ることも可能です。ただし、是正しない場合は理由を説明できるようにしておきましょう。

審査に落ちることはあるのか

ISO審査において重大な不適合が見つかったとしても、すぐに適切な是正処置を行えば審査に落ちる可能性は低いといえます。

しかし、改ざんなど重大な法令違反があった場合は認定が取り消される恐れがあります。

参考:国立医薬品食品衛生研究所職員による研究活動上の不正行為及びISO/IEC 17025認定審査対応における不適切行為に関する調査結果の公表

このように、毎年数件程度の認定取り消しが発生しています。ISO審査に備えることも大切ですが、それ以上に日常のマネジメントシステムを着実に行うことが非常に重要だと言えるでしょう。

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04. ISO力量管理
スキルノート編集部

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