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2024.4.24
製造業では、マニュアルの作成が頻繁に行われています。ただし、マニュアルをうまく作成できなかったり、作成しても運用できなかったりと、課題に感じている人も多いでしょう。
そこでこの記事では、マニュアル作成が必要な理由や実際に作成する際の流れを確認し、マニュアルを作成・運用する際に押さえるべきポイントを解説します。
すぐに取り組めるポイントも多くあるので、マニュアル作成に関する課題を解決したい場合には、ぜひ参考にしてください。
製造業では、マニュアルや作業手順書を作成することが多くあります。以下ではその理由を説明あhします。
職種や業務の内容に関わらず、業務の中で個人が習得・蓄積したナレッジやノウハウは、企業の重要な財産です。
これらは言語化されていない暗黙知であることも多く、うまく言語化できなければ、他のメンバーと共有されずに失われてしまいます。これらを共有・保管できる状態にし、次の世代に伝えていくためには、マニュアルのような形で言語化しておくことが重要です。
もし担当者が不在な場合でも、マニュアルさえあれば最低限の対応が可能となります。
関連記事:SECIモデルとは?ナレッジマネジメントへの活用と具体例
製造業では、複数の従業員が同じ業務を行う機会が頻繁にあります。そのため、業務の共通部分を標準化して効率化を促す必要があります。
業務の標準化は、誰でも同じ手順で同じ品質の作業ができるように、再現性のあるプロセスにすることを意識して進めていく必要があります。
関連記事:業務標準化とは?業務標準化のメリットと進める手順を解説
製造工程において、作業者の違いによって製品品質にばらつきが出てしまうことは望ましくありません。また、製造業務だけではなく、設計開発業務においても業務品質は可能な限り高い水準で維持する必要があります。
正しい手順を明確にし、それぞれの業務を進める上でのポイントをマニュアルに記載しておくことで、製品・業務品質の維持に繋がります。
関連記事:品質保証と品質管理の違いとは? 仕事内容、連携、スキルアップ方法について解説
企業が存続していくためには利益を出し続けること必要です。そのため、原価低減に継続的に取り組むことは大切です。原価低減案の一つとして、製品の開発費や実際に製造する際にかかる時間の削減(タクトタイムの短縮)が挙げられます。
マニュアルを作成すれば、広い範囲でノウハウやナレッジを共有することが可能となり、業務の効率化を実現できます。
実際に製造業でマニュアルを作成する際には、次のような流れが一般的です。
やみくもにマニュアル作成に取り組んでも、思ったような効果は得られません。
マニュアルの作成が必要となる対象業務と、その業務に対してマニュアルの作成が必要な理由・目的を明確にすることが重要です。
なお、マニュアルを作成する目的の例としては、「作業の抜け漏れの防止」「作業の効率化」「作業品質の安定化」などが挙げられます。
マニュアル作成に取り組む対象の業務と目的が明確になったら、どのようなスケジュールでマニュアルを作成するか決めていきます。
製造ラインの立ち上げなど、遅れることが許されない目的となるイベントがあればスケジュールは立てやすいはずです。しかし、明確な期限がない場合では、マニュアル作成は先送りされやすい傾向にあるので十分注意しましょう。
また、スケジュール変更が想定される場合には、あらかじめバックアッププランを複数設けておくなど、柔軟に対鵜ができるように準備しておきましょう。
スケジュール立案が済んだら、実際にマニュアル作成に入ります。
まずはマニュアルに記載すべき作業にはどのようなものがあるかを整理します。そして、マニュアルに記載する対象となった業務の作業内容を、網羅的に抽出していきましょう。
マニュアルに記載する作業を選定する基準としては、(1)現在すでにマニュアルに記載されている作業、(2)検討段階で新たに記載の必要性が確認された作業の2つが挙げられます。
ここで業務の抽出が漏れていた場合、マニュアル通りに取り組んでも作業に漏れが発生し、品質不具合を誘発してしまうため注意が必要です。
なお、作業内容の抽出が完了したら、それぞれの作業をどのような順番で実施すべきかの整理を行うといいでしょう。
次は、マニュアルの構成案を作成します。
構成案を作成せずにいきなりマニュアルを作成してしまうと、完成したマニュアルが分かりにくいものになってしまいます。まずは構成案を作成し、関係者と認識を合わせておくと良いでしょう。
構成案を練る際には、マニュアルを使用するユーザーの使いやすさを考慮しましょう。まずは大枠を固め、そのうえでどこに理解を補助する画像や動画を配置すればいいか検討するといいでしょう。
構成案が失敗してしまうと、わかりにくいマニュアルが作成されてしまうため注意が必要です。
マニュアルを「誰が見てもわかりやすいもの」にするためには、動画や画像を使用することも大切です。あらかじめ作成したマニュアルの構成案に従って、必要な動画や画像、イラストなどの素材を準備します。
画像や動画をマニュアルに使用する際には「一定の品質水準」を満たしたものを使うようにしましょう。画像や動画は撮影したものをそのまま使うのではなく、加工の要否も含めて検討しましょう。
社内で作業手順などを撮影する場合、場所によっては事前申請や許可が必要な場合もあります。時間的な余裕を持って、準備を進める必要があります。
次は、作成した構成案に従ったマニュアルの作成です。
改めて事前に作成した構成案で問題ないかを確認しながら作成を進めます。文字の大きさや画像の枚数などから確認すると良いでしょう。なお、構成案自体に改善する必要があった場合には、現状の構成案に固執せずに柔軟に修正を行うことが大切です。
作成したマニュアルは、マニュアルを使用する現場が使いやすいようにどのような形式で共有するのが良いか判断します。例えば、PCの確認が難しい場合には紙に印刷し、そうでなければデータ化し、PCや携帯端末で確認できるようにしておくといいでしょう。
電子化すれば、海外拠点など離れた場所も含めてデータの共有が簡単になり、いつでもどこでも確認できます。また、更新のしやすさも大きなメリットです。一方で、電子機器が持ち込めない現場の場合には、紙に印刷して利用しましょう。
マニュアルの作成や運用に際して、製造業で生じる代表的な課題を紹介します。
マニュアル作成が必要なことは十分理解しつつも、より緊急性の高い日常業務に追われてしまうことで、マニュアルを作成する時間が確保できない組織も多いのではないでしょうか。
そもそもの時間が足りない状況では、実際に作業を行っている担当者だけではどうにもできません。時間管理や業務内容に関する権限を持った管理者が主体的に状況を把握し、改善を促す必要があります。
せっかくマニュアルを作成しても、それが最新の状態に更新されておらず内容が古くなってしまっていることがあります。
例えば工程に不備があったり、さらなる効率化を実現したりすることで、作業手順が変更されることがあります。しかし、その工程変更がマニュアルに反映できていないことは少なくありません。
マニュアルは、正しい状態でなければミスを誘発してしまうため、最新化されていないマニュアルは不具合の原因となってしまいます。マニュアルの管理者は、常に最新状態を維持することを心がける必要があります。
作成したマニュアルの効果を最大化するためには、具体的な作業手順に加えて、重要なノウハウやナレッジを併記して残すことが効果的です。
しかし、重要なノウハウやナレッジは豊富な経験を積んだ一部の従業員しか持っていないこともあり、それを反映させることは簡単ではありません。普段から熟練技術者や作業者の持つノウハウやナレッジを共有しておく仕組みをつくっておきましょう。
マニュアルを作成したものの、作成したマニュアルが業務において運用されずに、形骸化してしまう状況も頻繁に発生します。
一部の作業者が作業内容や作業のポイントを完全に把握していたとしても、その作業に関わる全員が完璧に業務をこなせる保証がない場合にはマニュアルを運用すべきであり、形骸化している状態は望ましくありません。
製造業でマニュアルを作成する際には、以下のようなポイントを押さえて作成しましょう。
マニュアルを作成する際に本来の目的が忘れられてしまい、マニュアル作成が目的になってしまうことがあります。しかし、重要なのはマニュアル作成によって何を実現したいのかであり、マニュアルを作成することではありません。
マニュアルの作成や運用に関わる関係者にはマニュアル作成の目的や解決したい課題を共有し、目的を果たせるマニュアルの作成に協力してもらえる体制を構築しておきましょう。
作成したマニュアルは、そのマニュアルに記載された業務の担当者以外が確認することもあります。
そこで、製品のことを把握している他部署の方、もしくはその業務を今後担当する新人の方、この両方が理解できる内容を心がけるといいでしょう。
特に、マニュアルに記載すべき内容そのものや事前知識が豊富な従業員がマニュアルを作成する場合、マニュアルを確認する方にとっては必要な情報が抜けてしまう可能性があります。
これらの情報は、前提知識が十分でない人には必要な内容であり、理解を妨げる大きな要因となるため、丁寧な説明が必要です。
作成するマニュアルは、誰が確認しても重要なポイントが伝わるように、余計な情報を入れないようにシンプルで必要十分なデザインを心がけるといいでしょう。
特に重要で読み飛ばしてはいけない部分は、赤字や太字でその部分を強調しましょう。ただし、強調表現を使いすぎるとどこが本当に重要なのかわからなくなってしまうため、多用しすぎないことが大切です。
せっかく作ったマニュアルも、形骸化してしまっては意味がありません。
業務担当者の対応だけでは、せっかく時間をかけて作成したマニュアルが使われなくなってしまうことがあります。そこでマニュアルを形骸化させないために、半強制的に使用させるようなプロセス・仕組みの構築することも効果的です。
作成したマニュアルを用いた勉強会を実施したり、作業中にマニュアルを参照しやすくするような工夫を凝らしたりすることも効果的な選択肢と言えます。
マニュアルは、作成したら終わりではありません。マニュアルを運用する過程で、分かりにくい箇所の抽出や新たな気付き、ナレッジが生まれる可能性があります。
これらの情報は継続的にマニュアルに反映させる必要がありますが、実際にはマニュアルの更新は滞ってしまいがちです。
気付いた人が気づいたときに更新することが理想的ですが、運用が定着するまではマニュアル更新のタイミングと担当者を明確にして管理・運用するといいでしょう。
最後に、製造業においてマニュアルを作成する時間がないという課題を解消するために、マニュアルの作成を効率化するコツを2点解説します。
マニュアルを作成するにあたり、構成案の作成や、どのような素材(動画や画像、イラスト等)を準備すべきか検討することには相応の時間がかかります。
そこで、マニュアルのテンプレートをいくつか用意しておき、その中から適切なものを選択するのも効率的にマニュアルを作成するコツのひとつです。
テンプレートは無料で手に入れられるものも多いので、複数のテンプレートを参考材料として準備しておくことをおすすめします。
近年は、マニュアルの作成を効率化できるようなツールも開発されています。
画像や説明文を入力すれば、自動で見やすいレイアウトのマニュアルに整えてくれるものもあります。
PCの操作をマニュアル化したい場合には、画面操作をそのまま動画マニュアルにしてくれるツールを活用できます。
さまざまなツールが用意されているため、目的に合わせて最適なものを選定するといいでしょう。
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