パートナーシップ対談

設備と人の生産性を最大化
THKとSkillnoteがともに進める
新サービス「スキル管理AIソリューション」
~設備データとスキルデータの包括的な管理とデータ活用を実現~

THK株式会社

「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」との経営理念のもと、独創的な発想と独自の技術により、世にない新しいメカニズムを提案してゆく創造開発型企業です。

  1. 1.故障や部品交換による製造ラインの停止を未然に防ぐ
  2. 2.生産設備のメンテナンスと人財アサインの一元化
  3. 3.世界中のパートナーと手を取り合い、グローバル展開の実現へ

設備保全のスキルを「見える化」し、IoTによる生産設備の故障予兆検知の「その先」のソリューションを実現

SkillnoteはTHKと業務提携を締結し、同社のOEE(設備総合効率)最大化プラットフォーム「OMNIedge」にスキルマネジメントシステム「Skillnote」を連携した新サービス「スキル管理AIソリューション」を2023年12月1日より提供開始します。「OMNIedge」が実現するOEE最大化の意味と、「Skillnote」との連携によって実現できる新たな可能性とは、いったいどんなものなのか? THKのIoTイノベーションを統括する坂本 卓哉さんと当社の山川 隆史の対談を通じて皆様にお伝えします。

THK株式会社
執行役員 IOTイノベーション本部長
坂本 卓哉

株式会社Skillnote
代表取締役
山川 隆史

01.故障や部品交換による製造ラインの停止を未然に防ぐ

OEE(設備総合効率)最大化プラットフォーム「OMNIedge」の概要についてお聞かせください。

坂本さん(以下、敬称略):「OMNIedge」は2020年にスタートした、故障や部品の異常などをAIで予兆検知するサービスです。製造現場の生産設備にセンサを後付けするだけで、波形をAIが分析して異常値をアラートし、故障や部品の異常によって製造が中断する前に対処ができるというわけです。

第1弾として、当社が提供するLMガイドやボールねじなど、直動部品向けの「部品予兆検知AIソリューション」を提供し、第2弾では直動部品だけでなく回転部品向けのAIソリューションを展開しました。そして第3弾では、加工機の工具のチッピングや摩耗などを感知する「工具監視AIソリューション」を販売しています。

第1弾は当社製品を想定したサービスでしたが、お客様からの好評の声とご要望を受け、現在は当社製品に限らない様々な製造機器の故障に対する、予兆検知ソリューションを展開しています。

「OMNIedge」が目指す製造業の課題解決とは、どのようなものでしょうか?

坂本:大きな話になってしまうのですが、いま日本の製造業が直面している問題は、エネルギーロスと人口減少です。設備故障によって製造がストップしてしまえば、エネルギー効率にも大きなロスが生じてしまうからです。くわえて、人の減少により、以前は10人で保全管理していた生産設備を、5人で対応しなければならない状況も生じています。

そこで、センシング技術を活用して設備保全を効率化し、少ない人数で対応できるように変えていく必要があります。「OMNIedge」で製造業のOEEを最大化したいと考える背景には、国内製造業の抱える課題解決があり、ひいてはそれが日本のGDPや国際競争力の向上にも貢献できると考えています。

実際に、こうした危機感や必要性に共感いただき、自動車関連のメーカーや、三品産業といわれる食品・医薬品・化粧品メーカーを中心に、「OMNIedge」の引き合いは加速度的に増加しています。

02.生産設備のメンテナンスと人財アサインの一元化

スキルマネジメントシステム「Skillnote」との連携による新サービス「スキル管理AIソリューション」誕生のきっかけと、その目的についてお聞かせください。

坂本:先ほどの話に関連しますが、製造業の現場というのは「設備」と「人」で成り立っています。これまでの「OMNIedge」のソリューションは、「設備のロス」を減らすことに主眼を置いていますが、その不具合のアラートに対応する「人のスキル」へのアプローチは、まだ行き届いていませんでした。

例えば、「OMNIedge」で故障の予兆検知があっても、その設備のメンテナンスや修理のスキルを誰が持っているのかわからない。スキルを持たない人が対応しようとすれば、故障のリスクは高まります。当社も国内外に37拠点の工場を持ち、機械要素部品を製造するメーカーですから、こうした現場のスキル管理におけるリアルな課題があることは認識していました。

そこで、「誰が修理やメンテナンスのスキルを持っているのか」を現場で「見える化」し、担当者への連絡までサポートするようなラストワンマイルのサービスを、スキルマネジメントシステム「Skillnote」と連携すれば実現できると考えたことがきっかけです。

山川:およそ1年前に、坂本さんからお話をいただいたときのワクワクする気持ちは、今もはっきりと覚えています。私たちの「Skillnote」は、製造現場で働く人のスキルを可視化することで、配置や教育に貢献し、人起因の生産ロスを削減して生産性を高めることを目的としています。

「OMNIedge」と連携することで、設備メンテナンスの必要が生じた際に、最適な人財をレコメンドできるほか、人財育成や保全計画の立案にも貢献できます。より具体的な現場課題に深くアプローチすることができ、「Skillnote」としても1+1が3にも4にもなるような、新たな付加価値を生み出せると感じています。

坂本:「Skillnote」のユニークな点は、スキルマネジメントに特化している点にあると思います。より総合的なタレントマネジメントシステムにはない、「製造業のスキル」について現場の事情や利便性を考えたシステムであることです。「OMNIedge」も現場のリアルを考えて設計しているので親和性が高く、新サービス「スキル管理AIソリューション」は設備メンテナンスにおいて、かゆいところに手が届くような利便性の高いサービスを実現することができます。

また、製造現場におけるDXでは「設備」の刷新に視点がいきがちですが、安全で安定した生産体制の構築にも、生産性を高めてOEEを最大化するためにも、設備を扱う「人のスキル」が重要です。「Skillnote」との連携を通じ、顧客企業にその重要性を周知していきたいですね。

山川:ありがとうございます。Skillnoteは「つくる人が、いきる世界へ」をビジョンに掲げ、ものづくりにおける人財育成や、人のスキルを最大限発揮できる環境をアップデートしていきたいと考えています。

まだまだ発展の可能性のあるシステムですが、導入企業におけるスキルマネジメントでの利用も拡大しており、生産性向上に貢献できる進化を遂げていきます。「OMNIedge」との連携でも、データ活用によってさらに「Skillnote」の最適化を図り、機能を拡充させてTHK様と一緒にビジョンを実現していきたいですね。

03.世界中のパートナーと手を取り合い、グローバル展開の実現へ

「スキル管理AIソリューション」の今後の展望について、お聞かせください。

山川:私たちSkillnoteは、グローバル展開も開始しております。THK様は海外にも多くの拠点を持ち、海外の製造業においても欠かせない存在ですし、当然のように「OMNIedge」もグローバル展開を見据えていると伺っています。

坂本:実際に、THKの基幹事業である機械要素部品での国内売上比率は3割ほどで、欧米を中心とする海外が主戦場です。「OMNIedge」も、まずは国内産業でソリューションの知見を深め、一日も早く海外に展開したいと思っています。

山川:スキルマネジメントの課題は海外の製造業においても同様ですから、「Skillnote」もグローバルで製造業の標準システムになることを目指し、さらに開発スピードを加速させてまいります。

坂本:頼もしいです。いま、当社は「OMNIedge」をはじめ、ソリューションの領域で様々なスタートアップ企業と手を組んでいますが、私がITのスタートアップに期待することは、まさにスピード感です。

「Skillnote」との連携では、設備の予兆検知とスキル・人財とのマッチングを実現させますが、このほかにも様々なサービスと連携し、「OMNIedge」の利便性を多角的に高めていきたいと考えています。日本に限らず、アメリカ、インド、イスラエルなど、多様なスタートアップ企業と製造業の未来を語り合い、同じビジョンを描けるパートナーとともに、スピード感をもって「OMNIedge」を発展させてまいります。

山川:当社も「OMNIedge」に参画するスタートアップ企業としてその発展に貢献できることを大変光栄に思っています。坂本さんはスタートアップ企業のスピードを評価してくださいますが、私からすれば、大企業でありながらハイスピードで事業を展開するTHK様の体制づくりやビジネスの進め方は、とても刺激的で多くの学びを得ています。

近年、製造現場にはロボットやAIの導入が急速に進展していますので、人の作業がロボットに、人の思考がAIに置き換えられていく流れはますます進んでいくでしょう。でも、あくまでロボットやAIは人の能力の拡張であり、そのオペレーションやカスタマイズ、それこそ修理やメンテナンスといった「人のスキル」は存在し続けます。

新しい製造業の世界に、人がスキルを発揮し、生き生きと働ける環境を生み出せるよう、私たちもより一層の進化を遂げていきたいと思います。本日は、ありがとうございました。