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QCストーリーとは? 概要、メリット、3つの型「問題解決型」「施策実行型」「課題達成型」、(新)QC7つ道具について解説

QCストーリーとは?

QC活動は、職場環境の改善や製品品質の向上を目的として製造業を中心にさまざまな企業に導入されています。しかし、「いざQC活動を始めようとしてもうまく進められない」「進めてみたけど十分な効果を出せなかった」といった場合も多いのではないでしょうか。

QC活動を効果的に進めるためには、QCストーリーの型をうまく活用する必要があります。この記事では、QCストーリーの概要やQCストーリーの3つの型、それぞれの型での活動の進め方、QC7つ道具について解説します。

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QCストーリーとは

初めに、製造業で広く使われている「QC」という用語やQCストーリーの概要を紹介します。

QCとは

QCとは、Quality Controlの略称で、日本語では「品質管理」の意味です。日本産業規格(JIS)では、「買い手の要求にあった品質の品物、もしくは、サービスを経済的に作り出す手段の体系」と説明しています。

QCは主に製造業で使われる用語でしたが、顧客満足度を重視する傾向が高まってきたことから、製造業以外のさまざまな業界でも重要視されています。

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QCストーリーとは

QCストーリーは、職場における問題を解決するためのプロセスや手順を意味し、QC活動をうまく進めるために参考にする「型」を示しています。

近年は、改善活動全般においてQCストーリーの有効性が認められており、ビジネスシーンで幅広く活用されています。

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QCストーリーを行う3つのメリット

QCストーリーを用いることで、以下のメリットがあります。

QC活動全体の把握

QCストーリーの活用は、QC活動の全体像の把握を促し、QC活動を実施するために必要な手順を抜け漏れなく行える状況を整えます。

「QC活動の各手順が何のために行われるのか」「なぜその順番で進めることが望ましいのか」を理解してQC活動を行うことで、QC活動の効果を高められます。また、QC活動に参加するメンバーも主体的に活動に参加できるため、参加メンバーへの教育効果の向上も期待できます。

やるべきことの明確化

QCストーリーでは、QC活動を行う際の手順が明確に定義されています。そのため、「やるべきこと」を明確にしてQC活動を進められ、関係者と進捗状況を共有することも簡単になります。

進捗状況が共有できることで「次に何に取り組むべきか」も明確にでき、事前準備もスムーズに進められるようになります。

スムーズな情報共有の実現

基本的にQC活動は、職場などのチームで協力・分担しながら取り組む活動です。

チームで行う活動である以上、メンバー同士での情報共有や認識合わせが課題になることが多くあります。QCストーリーは、情報共有に関する課題解決へとつながります。

QCストーリーによってQC活動の全体像を明らかにすることで、状況共有がスムーズに進みます。必要な情報を適切なタイミングで、関係者間で共有することはアドバイスの受領や報告時間の短縮につながります。

QCストーリーの3つの型

QCストーリーは、大きく分けて以下の3つの型に分類できます。

問題解決型

「問題解決型」は、一般的なPDCAサイクルによる品質管理の手法であり、QCストーリーのなかでも活用する機会が多い型です。

「問題解決型」では、職場で発生した問題に対して調査や分析を行い、問題が生じた原因についての仮説を立て、その仮説に基づいて対策を講じることで課題解決へと導きます。

日常的に業務を進める際にも、意識せずに問題解決型のQCストーリーを活用している場合も多いでしょう。

施策実行型

「施策実行型」は、問題解決型と関連性が高く、職場で起きている問題のなかですでに問題の原因が明らかになっている場合に活用される型です。施策実行型では、問題の原因をスムーズに解消することを目的としています。

施策実行型に分類したQCストーリーを見直す場合があります。たとえば、特定された原因が部分的なものであり、他に影響度の大きい原因があると見直された場合がそれに当たります。この場合では、施策実行型を用いてしまうと影響度の大きな原因を発見できなくしてしまいます。施策実行型を用いるかどうかの判断は慎重に行うとよいでしょう。

課題達成型

「課題達成型」は、他の2つの型と特徴が異なります。課題達成型では、顕在化した問題を扱うのではなく、今後達成したい目標を実現するための活動に用います。

課題達成型では、緊急性のある問題は扱いません。そのため、課題達成型は、他の2つのQCストーリーに比べて時間的余裕が生まれ、問題に時間をかけて取り組みやすいと言えます。

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QCストーリーの進め方【問題解決型・施策実行型】

問題解決型のQCストーリーは、以下の流れで進めることが望ましいと言えます。一方、施策実行型は、基本的には問題解決型と同じ流れですが、原因が明確なため原因追及のステップを挟む必要がありません。

テーマ選定

初めに、QC活動で扱うテーマ(問題)を選定します。

QC活動で扱う問題として設定するのに適切なのは、QC活動を行う職場で生じており、メンバーが共通の課題認識を持っているものです。もしくは、まだ課題として明確になっていなくても、潜在的に共通の課題となりうるものです。

テーマを選定する際には、QC活動を行う目的に応じて「緊急度が高いもの」「メンバーへの教育効果が高いもの」「コスト対効果の大きいもの」などの観点で優先順位を定めて進めるようにしましょう。

現状把握

テーマの選定ができたら、問題を正確にとらえるため に現状把握を行います。

メンバー間で誤解なく共通認識を持つためには、数値データなどの客観的な情報や科学的な根拠を集めることが重要です。なお、客観的な情報は施策後、施策を実施したことによる効果を測定する際にも必要な情報となります。

目標設定

目標は、把握した問題が確実に解消できる水準で設定しましょう。結果を客観的に評価するためにも、定量的な目標を設定することが大切です。目標を達成できない場合でも、達成度に応じた評価が可能になります。

スケジュール計画

次に、目標を実現するためのスケジュールを立案します。最終目標だけでなく、ステップごとに中間目標をマイルストーンとして設定するとよいでしょう。マイルストーンを複数設定しておくことで定期的に進捗確認ができ、想定よりも遅れている場合には進め方を改善するなど、柔軟に対応することができるようになります。

原因追及

原因追及は、すでに原因が判明している施策実行型では不要なステップです。一方で、問題解決型においては、最も重要なステップであると言えます。

原因追及は、一見すると現状把握と同じようなものとして受け取られがちですが、問題の具体的原因を追及する点で、現状把握とは意味合いが異なっています。

なお、原因追及は、QC7つ道具の「特性要因図」などで用いられる「4M(機械、人、方法、管理)」の観点から行うとよいでしょう。

関連記事:製造業・品質管理の4Mとは? 5M+1Mや6Mとの違い、変更管理、効果の出し方について解説

対策実行

対策実行では、原因追及で明確にした原因への対応策を検討・実行します。明確になった原因の解消が設定した目標に対してどの程度の効果をもたらすのかを検討することで、優先的に進めるべき対策をハッキリさせます。

必要工数や難易度・対策効果などの観点から、実際に実行に移す対策案を決めるのがよいでしょう。

効果確認

対策が完了したら、狙いどおりの効果が得られているか確認します。

対策の効果を客観的に評価するためにも、対策の前後でデータを取得して定量データによって比較するようにしましょう。定量データに基づいて比較を行うことで、目標に対して対策がどの程度の効果をもたらしたのかを確認することができます。

満足な効果を得られなかった場合には、他の対策を行います。もしそれらの対策でも十分な効果が得られない場合には、原因対策と対策立案からやり直す必要があります。

標準化

効果を確認できたら、その成果を他の問題に対しても反映させられるように標準化活動を行います。

標準化の具体的な内容としては、作業手順書やマニュアルなどの作成、他の工程や職場への適用などです。標準化を行うことで、QC活動の効果を最大化することができます。

関連記事:業務標準化とは?業務標準化のメリットと進める手順を解説

QCストーリーの進め方【課題達成型】

課題達成型のQCストーリーは、以下の流れで進めるとよいでしょう。

テーマ選定

課題達成型のテーマは、経営計画などに紐づけて成果を確認できるものに設定しましょう。事業体制の強化といった明確なメリットへとつながることをテーマとして設定するのが望ましいと言えます。

攻めどころの設定

「攻めどころの設定」とは、目標を達成するためにどのような方向性のアプローチを採用するか決めることです。

攻めどころの設定を行う際には、複数人が議論に参加して幅広い観点からアプローチ案を出すとよいでしょう。

目標設定

アプローチの方向性が定まったら、数値目標を設定します。なお、複数のアプローチを採用する場合には、それぞれのアプローチに対して個別に目標を設定しましょう。そうすることで効果検証がしやすくなります。

設定する目標に、「誰が・いつまでに・何を・どの程度」といった観点から決めるようにしましょう。

方策立案

次に、目標を達成するために取り組むべき施策を立案します。1つの施策だけでは目標を達成できないことも多いため、複数案を出すとよいでしょう。

期待値の高い施策に取り組んだ結果、期待どおりの成果が得られない場合には複数出して置いた施策案が代替案となり、代替案の実施へとスムーズに移行できるようになります。

成功シナリオの追求と実施

複数出した案のなかから実施する施策を選ぶには、成功シナリオを描き、施策の優先順位を決定する必要があります。

優先順位を決める際には、メリットとデメリットを比較しましょう。そして想定されるデメリットに対して得られるメリットの大きさから判断しましょう。

効果確認

施策を実行したら、効果検証を行います。定量データを用いて目標と結果を客観的に評価するとよいでしょう。

目標に対して十分な効果が得られなかった場合には、代替策を進めます。代替策を実施しても効果が不十分な場合には、攻めどころの再検討を行いましょう。

標準化

施策の結果、狙いどおりの効果が得られた場合には、問題解決型と同様に標準化を進めます。

ここで標準化の対象とするものは、得られた効果に加えて、他の課題に対しても適用できそうな汎用性の高いものを優先するとよいでしょう。

標準化業務としては、マニュアルや作業手順書の作成などが挙げられます。

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QCストーリーに活用するQC7つ道具

QCストーリーに活用できる「QC7つ道具」を紹介します。

パレート図

「パレート図」は、項目別に分けたデータを大きい順に並べた棒グラフと、各項目の累積比率を折れ線グラフで複合的に示したものです。

特性要因図

「特性要因図」は、ある課題に対してその結果(特性)に至った要因を書き出し、そのなかでどの要因が大きな影響を与えているかを可視化した図です。まとめた結果が魚の骨のように見えることから、「フィッシュボーン図」と呼ばれることもあります。

「4M(機械、人、方法、管理)」の観点を意識することで要因は抽出しやすくなります。また、それぞれの要因に対してさらに関連する要因を抽出することで、影響を与える要因をより細かく抽出することができます。

関連記事:製造業・品質管理の4Mとは? 5M+1Mや6Mとの違い、変更管理、効果の出し方について解説

グラフ

「グラフ」には、折れ線グラフや棒グラフ、円グラフ、レーダーチャートなどさまざまな種類のものがあります。

グラフは、種類によって特徴が異なるため、可視化したい情報・目的に応じて、適切な種類のものを選択する必要があります。

ヒストグラム

「ヒストグラム」は、データを一定範囲ごとに区切り、それぞれの度数(割合)を表にまとめ、その結果を棒グラフで表したものです。

測定したデータの分布状態やピーク値などを確認することができ、工程上の問題点を把握するのに効果を発揮します。一方で、表にまとめるデータが少ない場合には、適切な結果が得られない場合があります。

散布図

「散布図」は、ある事象に関連する2つのデータをX軸とY軸に取り、点の集合から扱いたい事象の状態を表現します。

散布図を使えば、データ間の相関関係の有無を把握することができます。相関の種類には、右肩上がりとなる正の相関、右肩下がりとなる負の相関、それ以外の無相関があります。

管理図

「管理図」は、品質や工程などの管理状態を可視化するために採用され、中心線、上方管理限界線、下方管理限界線とともに、測定した時系列データを表示します。

上方管理限界線と下方管理限界線との間を正常値、そこから外れた場合を管理外れ値とすることで、管理状態が適切だったかどうか、管理状態にどのような変化があったのか、といった「傾向」を明らかにできます。

チェックシート

「チェックシート」は、あらかじめ決められた項目に従ってデータを記入していく表のことです。チェックリストと呼ばれることもあります。

チェックシートには、点検用と記録用があります。目的に応じて使い分けましょう。

  • 点検用:作業時に用いることで、作業の抜け漏れを防ぐ
  • 記録用:問題解決に必要なデータの収集に用いる

QCストーリーに活用する新QC7つ道具

QCストーリーに活用できる「新QC7つ道具」についても紹介します。新QC7つ道具では、言語データを扱う点が大きな特徴です

親和図法

「親和図法」は、問題や課題に関連するさまざまな言語データを抽出し、関連するグループ(親和性)ごとに整理することで、問題の全体像や特徴を把握する手法です。

連関図法

「連関図法」は、複雑に絡み合った問題を解決する際に、要因同士の因果関係に基づいてより影響度の大きい要因を明らかにする手法のことです。

QC7つ道具の「特性要因図」と似ていますが、連関図法では複数の要因を網羅することができます。品質管理や製造現場における課題分析に有効な手法です。

系統図法

「系統図法」は、目的を達成するために手段をツリー上に配置していく手法のことです。目的を達成する手段を次の段階の目的として設定し、繰り返し目的に対する手段の配置を行います。

目的と手段の抽出を繰り返し行うことで、どのような手順で進めていけば課題解決につながるのかを明確にできます。具体的な行動に移しやすくなる点がメリットです。

マトリックス図法

「マトリックス図法」は、関連性があると見做しうる2つの要素をそれぞれ行と列に配置し、それぞれの関連度合いや関係性を交点上に表示する手法のことです。全体を俯瞰して結論を導きたい場合や要素間の関係性を整理する際に効果を発揮します。

マトリックス図法は、使用目的に応じてマトリックスの形から、「L型」「T型」「X型」「Y型」などに分類できます。

アローダイアグラム法

「アローダイアグラム法」は、計画を進める際の作業順序を矢印と結合点で結んだ図のことです。複数の工程を並行して進めるような状況において、スケジュールを管理・検討する際に用いられます。

アローダイアグラム法を用いることで、スケジュール上のボトルネックの特定や、他の工程との兼ね合いからどの程度まで遅延を許容できるかどうかを明らかにできます。

PDPC法

「PDPC法」は、Process Decision Program Chartの略で、プロセス決定計画図や過程決定計画図を意味します。

全体プロセスを記号や色、言語データなどを組み合わせたチャートで表現し、プロセスの複雑な全体像を可視化できる手法です。

マトリックスデータ解析法

「マトリックスデータ解析法」は、分析したい数値データを行と列のマトリックス形式に配置し、その特徴を明確化する手法のことです。新QC7つ道具のなかでは、唯一数値データを扱います。

マトリックスデータ解析法は、簡単に言えば、多くある評価項目をまとめて少なくして評価しやすくします。例えば、相関性の高い2つの評価項目は1つの評価項目にまとめることができます。一方、相関性の低い2つの評価項目は求めることができません。

評価項目をまとめる際には、X方向とY方向の2つのデータをまとめることになるため、どちらかの方向の情報は失われることになります。そのため、マトリックスデータ解析法では、主成分分析によって計算を進めることで、可能な限り情報の損失を押さえます。

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