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2024.4.22
スキルセットとは、仕事をする上で必要とされる知識や技能を指します。職種ごとに必要なスキルセットは異なるため、それぞれに適したものを身に付けることが大切です。スキルセットは、昇進やスキルアップなど従業員のメリットのほか、生産性の向上など企業にとってもメリットがあります。
本記事では、基礎知識や職種ごとに必要なスキルセット、それらを身に付ける方法について解説します。人事の担当者はもちろん、スキルセットに関する理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。
スキルとスキルセットの違いは「単体」か「複数」かの違いです。スキルは仕事を行う上でのあるひとつの能力、スキルセットは複数の能力の集合体を指します。
1つの業務を遂行するのにも、必要なスキルはひとつではありません。例えば、ITエンジニアが業務を行うにはプログラミング能力が必要です。しかしそれ以外にもクライアントがどのようなプログラムを望んでいるのか聞き出すコミュニケーション能力、期限までにプログラムを完成させるスケジューリングなどプロジェクト管理能力も重要なものです。
このようにその業務に必要な複数のスキルをスキルセットといいます。職種や業務によって求められるスキルは違うため、それぞれの職種・業務において必要なスキルセットを身に付け、それらを磨き続けることが重要と言えます。
スキルセットはそれぞれの特徴から「ソフトスキル」と「ハードスキル」の2つに大別されます。
ソフトスキルは、以下のように社会人全般に必要な能力や特性を指すスキルです。
一方、ハードスキルは以下のように、特定の仕事において必要な専門知識や技術的な能力を指します。
また、スキルセットは「コアスキル」と「スペシャルスキル」にも分類できます。
コアスキルは、職種にかかわらず社会人として必要とされるスキルです。ビジネスマナーやコミュニケーション能力といった社会人としての基礎的なスキルのため、前述したソフトスキルとも共通する部分があります。
一方で、スペシャルスキルは、職種ごとに必要とされる専門的なスキルです。ハードスキルと同じような意味で使われることが多く、プログラミング力や語学力など、特定の業務を行う上で必要とされるスキルを指します。
コアスキル(ソフトスキル)やスペシャルスキル(ハードスキル)は、どちらか一方が優れているのではなく、両方をバランス良く身に付けることが重要であると言えます。
次にコアスキル(ソフトスキル)で、ビジネスパーソンが身につけるべき4つのスキルセットを紹介します。職種によって重要度は違いますが、この4つのスキルセットはどの職種でもあった方がいいとされるスキルセットです。
基本スキルセットとは、社会人としての常識やビジネスマナーといった仕事をする上で必要となる基礎的なスキルセットを指します。
基本スキルセットの具体例は次のとおりです。
これらはすべてのスキルセットの基礎になるため、新人向けの研修内容などに入れておく必要があるでしょう。
対人スキルセットとは、一緒に働く人との人間関係を円滑にするために必要なスキルセットです。
対人スキルセットには、次のようなスキルが挙げられます。
業務にはさまざまな人が関わっているため、仕事をする上で対人スキルセットは欠かせません。社内で連携を取ってプロジェクトを進めていく場合や、社外の人と交渉する場合など、人との関わりにおいて役立つでしょう。
対課題スキルセットとは、課題を解決する過程において必要となるスキルセットです。
対課題スキルセットには次のようなスキルが挙げられます。
課題に迅速に対処するためには、状況を的確に判断して解決までの道筋を立て、それに沿って柔軟に対応していかなければなりません。これらの対課題スキルセットを身に付けていれば、大きな課題に直面したとしても迅速に対処できるようになるでしょう。
対自己スキルセットとは、自分自身を管理するために必要なスキルセットです。
対自己スキルセットには、次のようなスキルが挙げられます。
ストレスへの対応やアンガーマネジメントは、業務を遂行する上で心身の健康を保つうえでも大切なスキルです。対自己スキルセットは仕事に直接関係するわけではありませんが、業務の質を向上させるために重要といえるでしょう。
エンジニアに求められるスキルセットは次のとおりです。
エンジニアとひとくちにいっても「Webエンジニア」や「サーバーエンジニア」などさまざまな職種があります。しかし、上記のようなスキルはどのような職種のエンジニアにとっても共通して必要なものと言えます。
コミュニケーション能力や自己管理能力といった基礎的なスキルセットはもちろん、ITスキルや専門知識も大切な能力です。専門知識の例としては、システム開発やインフラ構築、プログラミングスキルなどが挙げられます。
生産技術職に求められるスキルセットは次のとおりです。
生産技術職では、製品や設備といった専門知識を伴う高度な技術力や知識が必要です。一方、生産ラインや管理体制などへの課題発見・解決能力のスキルが求められます。また、業務によっては重大な事故を招くリスクもあるため、安全意識も重要なスキルのひとつといえるでしょう。
営業に求められるスキルセットは次のとおりです。
営業職は、高いコミュニケーション能力や傾聴力、交渉力といったさまざまなスキルが求められます。顧客や社内メンバーなど人との関わりが多いため、これらのスキルを磨き続けることが大切です。
また、営業職は業績が会社の売上に直結するため、ストレスを感じやすい傾向にあります。そのような状況下でも心身の健康を保ち続けるセルフマネジメント能力も求められるでしょう。
人事では、次のようなスキルセットが求められます。
人事は、企業にとって必要となる人材を見極めて採用したり、新入社員の教育・研修を行ったりする職種です。そのため、情報収集能力やコミュニケーション能力といったスキルが求められます。
また、求職者向けに説明会を行う機会も多いため、自社の魅力を伝えるブランディング能力も重要です。
マーケティングでは、次のようなスキルセットが求められます。
マーケティングは、市場や顧客のニーズに沿って自社商品(サービス)が売れる仕組みを構築する仕事です。そのため、マーケティングに関する基礎知識はもちろん、情報収集能力も求められます。
また、社内メンバーやクライアントとのやり取りも多いため、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力といったスキルも大切です。
マネージャーの職種には、次のようなスキルセットが求められます。
マネージャーは、目標を達成するために企業や組織のメンバーをまとめるなどのマネジメントを行う職種です。業務を遂行するには、チームメンバーのモチベーション維持やプロジェクトの進捗を管理する必要があるため、リーダーシップはもちろん、責任感やタスク管理能力なども求められます。
デザイナーに求められるスキルセットは次のとおりです。
デザインに関する基礎知識はもちろん、情報収集能力や分析力といったスキルも求められます。デザイナーは顧客が求めるイメージを具現化しなければなりません。そのため、顧客のイメージを正確に聞き取るヒアリング能力や、コミュニケーション能力も大切になるでしょう。
経営者には次のようなスキルセットが求められます。
会社を経営するにあたって重要となるのが、先を見通す先見力です。市場や社会情勢、環境など目まぐるしく変化する状況に対応するには、常に先を見通して先手を打つ必要があります。また、コミュニケーション能力やリーダーシップといった対人スキルも、経営を行う上では必要なスキルです。
スキルセットを習得するには、まず自身が持っているスキルを把握する必要があります。そのため、まずは社員に自分のスキルを洗い出してもらいましょう。
自身のスキルについて客観視できない場合は、以下のようなことを考えるのがおすすめです。
自身のスキルを把握して傾向がつかめれば、自分にないスキルは何か、またこれから必要なスキルは何かが明確になるでしょう。
自身の現状のスキルや今後必要となるスキルが明確になったら、研修に参加するのがおすすめです。企業によっては様々なスキルの研修を行っていますので積極的に参加しましょう。
社内研修以外にも、セミナーやビジネススクールといった外部の研修・教育機関を利用するのも良いでしょう。プログラミング力・デザイン力といったハードスキルはもちろん、マインドセットなどソフトスキルに関するセミナービジネススクールは多数存在します。
そのため、企業側も社員が意欲的にスキルセットを習得できるような環境や奨励制度などの仕組みづくりが大切です。
企業側が各社員のスキルを把握する際は、スキルマップの活用が効果的とされています。
スキルマップとは、社員一人ひとりのスキルレベルを数値化してまとめたものです。社員全員のスキルを可視化することで、各社員に必要なスキルの明確化や、人材配置の最適化などが期待できます。
スキルマップの基礎知識や具体的な作成手順について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてください。
スキルマップを活用して社員にスキルセットを習得させ、生産性の向上や業務の効率化などを目指しましょう。
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