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2024.4.23
製造業や建設工事業などの会社では、技能講習や特別教育という言葉をよく耳にされるのではないでしょうか。ご自身の周りにも、実際に特別教育を修了している方も大勢いるかもしれません。
そもそも、技能講習は何のために受講しているのでしょうか。また、免許、技能講習、特別教育には、どのような違いがあるのでしょうか。
このページでは、労働安全衛生法で定められている免許や技能講習、特別教育について、それぞれどういうものかを紹介し、取得・管理の仕方について、会社や管理者の視点で必要な情報をご紹介していきます。
労働安全衛生法では、一定の危険有害な業務に就く場合、「免許」の取得や「技能講習」、「特別教育」の実施を義務付けています。
製造業や建設工事業をはじめとして、これらの危険有害な業務を行っている企業においては、対象となる従業者に、免許の取得や技能講習・特別教育の修了を徹底し、漏れのないように管理していかなければなりません。
また、一部の危険有害な業務においては、作業者を指揮する者として、免許取得者または技能講習修了者から「作業主任者」を選任する必要があります。
労働安全衛生法では、フォークリフトやクレーンの運転業務、または酸素欠乏危険作業の業務など、従業者に危険や有害な可能性のある業務を特定し、それらの業務に対して免許の取得、技能講習、特別教育を義務付けています。
危険有害な業務に就く際に必要な資格および教育には、「免許」「技能講習」「特別教育」の3種類があります。これらにはどのような違いがあるのでしょうか。
免許・技能講習・特別教育には上下関係があり、免許が最上位、次に技能講習、その下が特別教育というレベルなっています。
例えば、労働安全衛生法で定められた危険業務の一つである移動式クレーンの運転業務を見てみると、そこで求められる資格および教育は、クレーンのつり上げ荷重によって運転資格が異なっています。
つり上げ荷重が5トン以上の移動式クレーンは、「免許」がないと運転できませんが、1トン以上5トン未満の移動式クレーンは、「技能講習」の修了で運転できます。また、1トン未満の小型の移動式クレーンは、「特別教育」で運転ができます。
このように、作業の危険度によって、免許、技能講習、特別教育のいずれが必要か定められているのです。
最上位の免許は国家試験を受験して、その合格者のみに資格が与えられるため、難易度が高くなっています。一方で技能講習は、都道府県労働局長に登録された教習機関で受講します。また、特別教育は社内(社内で教育が実施できない場合は、社外の教育機関)で受講することになり、段階的に難易度が下がります。
労働安全衛生法では、危険又は有害な特定の業務において、労働者の指揮等を行う作業主任者および就業制限業務に従事する者については、技能講習の修了を義務づけています。
技能講習には、「作業主任者」関係と「就業制限業務」関係の2種類があります。
法令では、「事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。(第14条)」と定めています。
作業主任者は、「1. 作業の直接指揮」 「2. 使用する機械等の点検」「3. 機械等に異常を認めたときの必要な措置」「4. 安全装置等の使用状況の監視」といった職務を担います。
作業主任者を選任したときは、届出の必要はありません。ただし、作業主任者の氏名やその者に行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示(腕章や特別の防止の着用等を含む)する等によって、関係労働者に周知させることになっています。
就業制限業務関係の技能講習には、以下の種類があります。
事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない(第61条1項)」
また「第一項の規定により当該業務につくことができる者は、当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない。(第61条3項)」と定めています。
就業制限業務関係の技能講習には、以下の種類があります。
労働安全衛生法では、「事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。(第59条3項)」と定めています。この教育のことを特別教育とよびます。
特別教育を必要とする業務には、フォークリフトやクレーンの運転業務、または酸素欠乏危険作業の業務など49の業務があり、労働安全衛生規則第36条で規定されています。自社の業務がこれらに当てはまる場合には、対象者に忘れなく特別教育を受講させましょう。
関連記事:【修了証エクセルテンプレート付き】特別教育とは?必要な業務の一覧、実施方法、免許や技能講習との違いについて解説
特別教育を行うには、社外で受講する方法と、社内で実施する方法の2通りがあります。
社外で受講する場合は、各都道府県にある登録教習機関が定期的に特別教育を実施していますので、そちらでの受講が可能です。
一方で、受講対象者が大勢いる事業場では、特別教育を社内で実施しています。特別教育の内容は、安全衛生特別教育規定にて具体的な科目や時間が定められていますので、社内でもこちらに準じた内容で実施することができます。特別教育の講師は、特定の資格要件はありませんが、内容について十分な知識と経験を持った人が担当しなければなりません。
労働安全衛生規則では、事業者は、特別教育を行ったときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを3年間保存しておかなければならないという定めがあります。
特別教育には有効期限はありません。
ただし、危険又は有害な業務に現に就いている者には、時代の変化に応じて、一定期間ごとに、また取り扱う機械設備の変更する際などに、安全衛生教育を実施することが通達で示されています。
危険有害な業務がある企業では、法令を遵守し、何よりも従業者の安全や健康を守るためにも、免許、技能講習、特別教育の漏れのない管理が必要です。
業務の危険度に応じて、上位から次の3種類の資格および教育をしなければなりません。
自社の業務をきちんと把握し、法令で定める危険有害な業務がある場合には、会社として従業者が確実に資格および教育を取得・修了するように管理を徹底しましょう。
免許・技能講習・特別教育の違いは何ですか?
免許・技能講習・特別教育には上下関係があります。最上位は免許、次に技能講習、その下が特別教育という序列があり、下がるにつれて難易度も低くなっています。
免許・技能講習・特別教育は、どのように取得、実施されるのですか?
それぞれ国家試験の合格、教習機関での講座受講、社内または社外での特別教育の実施が行われた場合に資格が付与されます。
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