【無料テンプレート付】ISO9001で求められる教育訓練記録とは?力量管理・教育訓練記録の作成と評価のポイント

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教育訓練記録とは、従業員が業務に必要な力量を身につけるために行った教育・訓練の結果を記録したものです。その教育・訓練が有効だったかの評価を含む情報も含みます。ISO9001の力量管理でも、業務に関わるすべての従業員が必要な「力量」を有していることを証明するために、教育訓練とその記録が求められます。本記事では、教育訓練記録の作り方や管理のポイント、力量不足時の教育・訓練、有効性の評価方法まで、具体的に解説します。
目次

ISO9001の要求事項が定義する「力量」とは?

ISO9001の要求事項では、「力量」を、以下のように定義しています(「7.2「力量」」。

7.2 力量

組織は次の事項を行わなければならない。

  1.  品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
  2.  適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を揃えていることを確実にする。
  3.  該当する場合には、必ず、必要な力量を身につけるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する。
  4.  力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する。

注記 適用される処置には、例えば、現在雇用している人々に対する、教育訓練の提供、指導の実施、配置転換の実施などがあり、また、力量を備えた人々の雇用、そうした人々との契約締結なども

スキルマップで「力量」を明確化

ISO9001においては、製品やサービスの品質に影響を及ぼす業務を行う担当者に必要な力量を明確にすることを定めています。力量の洗い出しには、「スキルマップ」の活用が効果的です。スキルマップによって各工程を分解して、それぞれの作業に必要な力量を細かい粒度で抽出できます。

例えば、製品検査という業務には、検査対象となる製品に関する知識や、検査機器による測定スキル、さらには検査結果を判断する知識や経験も必要となります。

スキルマップ作成の手順

1. スキルマップの目的を定める

スキルマップを作る目的を明確にします。従業員数やスキル項目にもよりますがスキルマップの作成は簡単ではないので、どのような場面で活かしたいのか目的を明確にすることが重要です。

2. スキルの洗い出し

従業員へのヒアリングや作業マニュアルをもとに業務分析や職務分析を行い、スキルマップに必要なスキルを洗い出します。

3. スキルの評価者、評価方法の策定

スキルマップの評価者や更新頻度などの評価方法を明確に策定しておきます。

4. スキルの評価基準の策定

スキルマップの評価基準を策定しましょう。評価基準は〇×でも構いませんが、1〜4などのレベル別に評価を行うと習熟度が分かりますし、部署全体の平均値の算出などより踏み込んだスキル評価が可能になります。

スキルマップのスキル項目の分類方法やスキル名、評価基準について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

5. スキルマップを作る

実際にスキルマップを作っていきます。スキルマップの作成にはExcelなどの表計算ソフトやスキル管理システムを使用することが一般的です。

6. スキルマップを導入・定期更新

スキルマップが作れたら早速導入を開始します。導入後、不備があった場合は修正やルールの変更を随時行います。また定期的に更新し、人材育成に役立てていきます。

ISO9001の力量管理における教育・訓練とは?

業務にあたる担当者の知識やスキルが不足している場合は、その差分を明らかにし、埋めるための教育・訓練を行わなければなりません。教育・訓練は、知識を得るための研修受講や、スキルを育成するためのOJTなどがあります。仕事に就きながら少しずつ力量を高めていける仕組みがあると、職場の力量の底上げや人材育成にもつながります。

なお、ISO9001の要求事項では「教育・訓練」へ定義づけられていません。しかし、「7.2 力量」において記載があります。記載内容をまとめると以下になります。

1 必要な「力量」を明確化

ISO9001の「7.2 力量」では、品質マネジメントシステムの有効性に影響を与える業務を行う担当者に、どのような力量(知識・スキル・経験)が必要かを明確にすることを求めています。工程ごと・職種ごとに「必要な力量基準」を定めることで、教育・訓練の対象や内容を的確に設定できます。

2 従業員が「力量」を保持していることを確実にする

従業員が業務に対して必要な力量を持っているかを適切に評価します。明確化には資格認定やスキルマップを作成するなどの手段があります。

3 「力量」が不足している場合には教育訓練を実施

力量にギャップが見つかった場合は、必要な教育や訓練を行い、スキルの底上げを図ります。新任者研修、OJT、外部セミナー受講などが一般的です。教育内容は力量要件に基づいて設計します。

教育訓練の有効性を評価

教育訓練の実施後には、理解度テスト・面談・作業観察などにより効果を測定します。有効性評価の結果は次の教育計画に反映し、力量向上のサイクルを継続します。

「力量」に関する記録を保持

教育訓練の実施内容、有効性評価の結果などは、力量の証拠として文書化しておく必要があります。ISO9001の審査では、これらの教育訓練記録が力量管理の根拠として確認されます。

なぜISO9001において教育訓練は重要か

認証の取得・維持のためのスキルの確保

ISO9001の認証の取得・維持には、力量を証明できる仕組みが不可欠です。教育訓練記録が整備されていないと、審査で「力量の裏付けが不十分」と指摘される恐れがあります。教育訓練記録は、組織の品質保証体制を支える重要な要素と言えます。

QMSの品質維持・向上

教育訓練を継続的に行うことで、品質意識の定着とスキル標準化が進みます。結果として、ヒューマンエラーの防止や再発防止策の実効性向上につながり、QMS全体の品質が向上します。

教育・訓練の有効性評価の方法

実施した教育・訓練が、必要な力量を取得するのに適切だったかどうか、また、従業員が教育・訓練の効果を得たかどうか、その有効性を評価します。評価方法は、理解度テストや口頭確認を行ったり、また実際に作業をして出来ばえ確認を行うなどが一般的です。

ISO9001の力量管理で求められる教育訓練記録とは?

ISO9001では、従業員が保有する力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持することを求めています。教育訓練記録は、こうした力量取得の証拠となる文書として、多くの企業で使用されています。

ISO9001の力量管理における”文書化した情報の管理”

ISO9001の要求事項7.5.3「文書化した情報の管理」には、以下のような記載があります。

7.5.3.1   品質マネジメントシステム及びこの国際規格で要求されている文書化した情報は,次の事項を確実にするために,管理しなければならない。

  1.  文書化した情報が,必要なときに必要なところで,人手可能かつ利用に適した状態である。
  2.  文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)

7.5.3.2  文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には, 必ず,次の行動に取り組まなければいけない。

  1.  配付,アクセス,検索及び利用。
  2.  読み易さが保たれることを含む, 保管及び保存。
  3.  変更の管理(例えば,版の管理)
  4.  保持及び廃棄

品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情報は,必要に応じて,特定し,管理しなければならない。
適合の証拠として保持する文書化した情報は、意図しない改変から保護しなければならない。

注記 アクセスとは,文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定,又は、文書化した情報の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定を意味し得る。

文書の管理方法を定めて遵守する

ISO9001は文書化した情報について、以下の2つの事項を守ることを要求しています。
  • 必要なときに、利用に適した状態で入手可能であること
  • 文書化した情報が十分に保護されていること
また、文書管理に当たっては、上記の状態を保存するだけではなく、管理のルールを明文化することを求めています。このようにISO9001に沿った文書管理では、正式な文書が必要な場所で正しく使えるようにすることが重要なため、より情報の検索性が高く、紛失や劣化のリスクが少ない電子媒体での管理を行うケースが増えています。

まとめ:ISO9001の力量管理における教育管理は力量の証拠

ここまで、教育訓練記録の役割や作成方法、管理に必要な要求事項を説明してきました。ISO9001において、教育訓練記録は、力量の証拠として文書化することを求められており、その管理に当たっては、正しい情報を必要な時に入手できるよう利便性と、安全性を確保しなければならないと言われています。ISOの遵守には、正しい情報を漏れなく、継続して記録、保管できる仕組みが欠かせません。

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教育訓練記録とは何ですか?
教育訓練記録とは、従業員が業務に必要な力量を身につけるために行った教育・訓練の結果を記録したものです。その教育・訓練が有効だったかの評価を含む情報も含みます。
教育訓練記録の保管期間は?

記録を保管する期間は、記録した教育に関わる業務が完了してからおよそ5年程度が一般的とされています。

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