QFD(品質機能展開)とは?メリット・5つの展開手法・9つの手順をわかりやすく解説
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QFD(品質機能展開)は、顧客の声を起点に製品・サービスの品質を体系的に設計へ反映する開発手法です。変化の激しい市場において、顧客ニーズを正確に捉え、手戻りのない開発を行うために多くの製造業で活用されています。本記事では、QFDの基本的な考え方からメリット、5つの展開手法(品質展開・技術展開・コスト展開・信頼性展開・業務機能展開)、そして実務で使われる9つの手順までを詳しく解説します。品質向上や開発効率化に課題を感じている企業にとって必見の内容です。
QFD(品質機能展開)とは?
QFD(品質機能展開)の意味とは?
QFD(Quality Function Deployment/品質機能展開)とは、顧客が求める品質・ニーズを的確に把握し、それらを競争力のある製品やサービスを開発するためのアプローチ手法です。顧客の声(VOC:Voice of Customer)を出発点として、事前に顧客のニーズに優先順位を付け本当に狙うべき顧客ニーズや顧客の課題を把握することで、開発プロセスにおけるブレや手戻りを防ぎ、顧客価値に直結した製品開発を実現します。
QFDでは、「品質の家(House of Quality)」というマトリックスの作成からスタートし、顧客要望と設計要素の相関を可視化して、顧客のニーズにかなったフレームワークを提供します。
QFDのメリット
顧客ニーズを製品設計に反映できる
QFDのメリットは、顧客ニーズを抜け漏れなく把握して製品開発に展開できる点にあります。顧客が求める使いやすさ、耐久性、性能などの製品品質を可視化して開発プロセスに展開することで顧客が求める者とのギャップを未然に防ぎ、顧客価値の高い製品づくりが可能になります。
開発初期段階で品質を確保しやすくなる
QFDは設計初期から品質の方向性を固めるため、後工程での手戻りを大幅に削減できます。顧客のニーズと突き合わせて源流段階から技術課題に対する対策や方針を検討できるため、開発の進行中に品質上のトラブルが発覚するリスクを低減します。
部門間の連携を強化し、手戻りやミスを防止できる
QFDは、顧客要求・品質特性・設計目標・設備条件・作業標準・検査条件など、製品開発に関わる全ての工程において守るべき品質を明確にします。それら各工程における目標と課題を部門関係者間で事前に共有した上で製品開発をスタートさせるため、部門間の認識違いによるミスや手戻りが減少します。結果として、開発プロジェクト全体の生産性の向上や開発期間の短縮へとつながります。
ムダな仕様やコストを抑えて効率的な開発が可能になる
VOC(顧客の声)を製品開発の出発点に置き、多様な顧客のニーズに優先順位を付けた上で開発に取り組むため、顧客価値に直結する項目へリソースを集中させることができます。その結果、過剰品質の抑制やや製造コスト低減につながり、効率的かつ競争力の高い開発を実現します。
顧客満足度の高い製品やサービス開発が可能になる
QFDは顧客の声を中心に据えて設計を進めるため、自然と顧客価値に直結した製品開発が可能となります。顧客が「本当に求めているポイント」を優先的に反映することで、製品性能だけでなく、使用感・信頼性・アフターサポートまで一貫した品質を実現できます。結果として顧客満足度が向上し、ブランドへの信頼強化にもつながります。
QFDの5つの展開手法
品質展開
品質展開は、顧客の声(VOC)を起点に、求められる品質要求を設計仕様へ落とし込むQFDの中心となる手法です。顧客の声を、設計や性能の指標として具体的に言語化することで、品質を意識したものづくりが可能になります。たとえば「手になじむ」とう顧客の声を「本体の幅が40ミリ以内」といった具体的で検証可能な指標(これを「品質特性」と呼ぶ)に変換します。このように感覚的な言葉で表される顧客の声を設計・検証できる指標に変換することが「品質展開」の役割と言えます。製品開発の初期段階でこの作業を行うことで、顧客が本当に求めている価値を具体的に形にしやすくなります。
技術展開
技術展開は、品質展開で定義した「品質特性」(顧客の声から設定した顧客要求や設計項目)を、具体的な技術仕様や製造工程へと細分化・展開する手法です。
顧客の求める性能を実現するために設定した品質目標を、実際の製品や部品に変換していく上で非常に重要な役割を果たします。これにより、技術的に重点を置くべき箇所が明確となり、具体的かつ実現可能な設計が行えるようになります。これにより、設計のブレや過剰設計を抑えられるというメリットが生じます。
技術展開は製造・品質管理部門との整合性を高める役割も持ち、生産性や機能性とのバランスを取りながらどの技術を応用すれば顧客ニーズを満たせるかを考えるプロセスとも言えます。
コスト展開
コスト展開は、製品の設計要素や技術的仕様が、コスト構造にどのような影響を与えるかを分析し、最適なコストバランスを実現するための手法です。品質展開・技術展開で定義された要素ごとに、材料費・加工費・組立工数などのコストを割り出し、どの仕様変更がコストに影響するかを可視化します。これにより、過剰品質による無駄なコスト増を防ぎつつ、顧客価値を維持した最適な設計判断が可能になります。
信頼性展開
信頼性展開は、製品が使用される環境や条件を踏まえ、長期的に安定して性能を発揮できるよう、故障要因や耐久性リスクを事前に分析・展開する手法です。信頼性展開ではあらかじめ製品やサービスの使用方法を予測しておき、予測した使用方法においてどのようなトラブルが起こりうるか整理しておきます。その上で考えられ得る対策も計画するのが信頼性展開の特徴です。このように信頼性展開とは、問題が生じてから対応するのではなく、「問題が起きないように事前に対策しておく」という考え方に基づいています。
業務機能展開
業務機能展開は、製品やサービスの開発・生産に関わる業務プロセスを整理し、部門間の連携や作業効率を最適化する手法です。品質展開・技術展開で明確になった要求事項をもとに、営業・設計・製造・品質保証など各部門が果たす役割を分解して可視化します。
業務機能展開では、各工程において顧客のニーズを目指して品質を考慮に入れて業務プロセスの改善に取り組むため、製品自体の品質だけではなくアフターサービスや対応の品質向上にも寄与します。
QFDの9つの手順
ユーザーの要求を把握
QFDの第一歩は、ユーザー(顧客)のニーズを正確に把握することです。インタビュー、アンケート、クレーム分析、営業ヒアリングなどを通じて、顧客が求める価値や期待を収集します。この段階では「性能が高い」「使いやすい」など抽象的な表現でも問題ありません。「顧客の声(VOC)をできるだけ広く、偏りなく集めること」がこの段階では最重要になります。正確な要求把握が、後続の品質展開の精度を大きく左右します。
データを要求項目に変換
収集した顧客の声は、そのままでは設計仕様に転用することはできません。そのため、広範囲に集めた顧客の声の意味を整理して要求項目へと変換する必要があります。たとえば「使いやすくしてほしい」という顧客の声があったら、「ボタンを大きくする」など具体的な言葉に変換します。感覚的な顧客の声を具体的な言葉として要求事項に変換することで、ユーザーニーズをチーム全体で共有化できるようになります。
要求項目から要求品質に変換
要求項目を、より具体的で評価可能な「要求品質」へ変換します。たとえば「使いやすい」という要求項目は、「操作ボタンの配置が適切」「必要な機能に素早くアクセスできる」など具体的な品質特性に落とし込みます。この段階では、顧客の曖昧な要望を測定可能な品質指標へ変換することが目的です。要求品質は後続の品質特性展開や設計仕様に直結するため、過不足なく整理することが重要になります。
要求品質展開表を作成
要求品質を整理したら、それらを体系的にまとめた「要求品質展開表」を作成します。要求品質展開表とは、顧客のニーズとそれを満たすための技術的な対応を一覧的に確認できるように整理した表のことです。この表では、要求品質ごとに重要度や優先度、競合製品との比較などを記録し、どの品質が顧客のニーズを満たすために重要かを把握します。展開表を作成することで、開発側は「顧客が重視する点」「競争上の強化ポイント」を正しく理解できます。なお、要求品質展開表は、品質表(House of Quality)を作るための重要な素材となります。
品質特性展開表を作成
要求品質を実現するために必要な技術要素を整理するのが品質特性展開表です。たとえば「耐久性の向上」という要求品質に対し、「素材の強度」「接合方法」「耐熱性」など、実現のための技術特性を明確にします。品質特性展開表を作成することで、設計・製造・品質部門が共通の基準で議論できる状態になります。また、品質特性展開表を作成することで、設計における注意点や技術間のつながりを可視化できるため、無理なく実現可能な設計計画を立てることができます。
品質表を完成
品質表(House of Quality)は、要求品質と品質特性の関係をマトリクスとして示すQFDの中心ツールです。各要求品質と品質特性がどの程度関連するかを評価し、強・中・弱などの関係度を記入します。これにより、どの技術がどの品質に影響するかが可視化され、設計で重視すべきポイントが明確になります。品質表の完成は、QFDの中でも最も重要な成果物であり、開発方針の根拠資料として大きな役割を果たします。
企画品質を設定
品質表を基に競合製品や市場ニーズを踏まえて、開発製品で最終的に目指すべき「企画品質」を設定します。企画品質とは、製品として実現すべき品質レベルの指標であり、顧客価値と企業の技術力・コストバランスを考慮して決定されます。具体的には「製品寿命を現行比20%向上」「操作時間を10%短縮」など、目標値として数値化されることが多いです。企画品質の設定は、開発の方向性を定める重要なステップです。
要求品質重要度を品質要素重要度に変換
要求品質の重要度を、品質特性側へ変換し、技術者が優先すべきポイントを明確にするプロセスです。品質表の関係度を用いて、要求品質の重要度が品質特性にどのように伝わるかを数値化します。これにより、品質特性ごとの「重み付け」が算出され、設計者はどの特性を重点的に強化すべきか判断できます。重要度の変換は、設計工程におけるリソース配分や仕様決定に大きく影響します。
設計品質を設定
最後に、品質要素の重要度を踏まえ、具体的な設計仕様として「設計品質」を設定します。設計品質とは、材料選定や寸法、公差、強度、製造条件など、実際の設計プロセスに反映される項目のことです。このステップでは、過剰品質を避けつつ、顧客価値を最大化できる最適な仕様に落とし込むことが重要になります。設計品質の設定は、顧客が製品に寄せる期待を数値で定量的に明示し、その期待を実現するための約束を明確にする作業とも言えます。
まとめ
QFD(品質機能展開)は、顧客の声を基点に品質・設計・コスト・信頼性を体系的に展開し、手戻りのない効率的な製品開発を実現する強力な手法です。5つの展開手法と9つの手順を適切に活用することで、顧客価値に直結する設計が可能となり、過剰品質の抑制、部門間連携の強化、開発期間の短縮など多くのメリットが得られます。製造業における品質向上や開発プロセス改善を進めたい企業は、QFDの体系的な導入を検討することで、顧客満足度と競争力の向上につながります。
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執筆者
スキルマネジメントMagazine編集部
スキルマネジメントMagazineは、製造業に関する基礎知識から人材育成・スキル可視化といったスキルマネジメントについて発信する専門メディアです。Skillnote が運営し、数多くの製造業における人材育成・力量管理の支援を通じて蓄積してきたノウハウをもとに発信しています。













